2020年5月15日にジャパンリアルエステイト投資法人の決算短信・決算説明会資料が開示されましたが合わせてCO2削減目標など2030年に向けたKPIの設定についてのプレスリリースも発表しています。先日の記事は決算期についての説明だけだったので、今日はサスティナビリティについて見ていこうと思います。ジャパンリアルエステイト投資法人のサスティナビリティ戦略はJ-REIT銘柄の中でも最も進んでいる投資法人の1つです。

 まずジャパンリアルエステイト投資法人は2030年へ向けたCO2削減目標として以下の3つを掲げています。

20200525ジャパンリアルエステイト投資法人CO2削減
【出典:ジャパンリアルエステイト投資法人HPより】

①CO2排出量 35%削減 (原単位ベース/基準年2013年度)


②CO2原単位 60kg-CO2/㎡以下

 CO2排出量は基準年2013年度からの換算なので2013年度から見て35%削減というところで実際2020年5月現在では目下削減中というところだと思います。具体的にはリノベーション工事やLED化工事等によって25%の削減を計画・実施しています。㈱三菱地所設計の技術的検証により削減効果が見込めるとしています。

 エネルギー効率性を保つことで各物件の市場価値を保ち、個別のアセットが「座礁資産(Stranded Asset)」化することを防ぐと同時に、ZEB等の競争力の高いグリーン性能をテナントにアピールし収益獲得に繋げることも思考しているようです。

 ジャパンリアルエステイト投資法人では毎年中期の修繕工事予算を策定しており、その際に環境関連工事(空調改修、LED化、共用部・トイレ改修等)については、その工事によるエネルギーや水の削減効果を試算しています。これらをCO2-トンに換算し、ポートフォリオ全体でどれだけの削減効果があるのか、また1t-CO2を削減するためにどれだけのコストがかかっているのかを定量的に把握しています。経年の為の改修工事(必ず実施すべき工事)と併せて環境関連工事を実施すれば、実際には少ない追加分の差額コストのみで大きな削減効果を狙っています。
 
③ZEB(Zero Energy Building)保有5~10棟

 ZEB(Zero Energy Building)とはは建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにするという考え方を取り入れた建物のことです。省エネによって使うエネルギーをへらし、創エネによって使う分のエネルギーをつくることで、エネルギー消費量をネットしてゼロにするという少々強引な取り組みです。省エネにつては上記で述べているようにLED化工事等を利用することで実現できると思います。創エネはオフィスビルや商業施設では再生可能エネルギー発電設備にて賄うことが一般的です。つまるところ太陽光パネルを屋上等に敷設したオフィスビルの取得を行うことで実現できると思います。
 
④水使用量 20%削減 (原単位ベース/基準年 2013年度)

 水資源の環境の為、水使用量の削減を推進していくとしていますが、具体的な対策は名言を避けています。水使用量はオーナーよりもテナントがどのように水道を使っているかによるところが大きいです。共用トイレや各テナントの給湯室の水道が対象になるので流石にトイレの水を少なくするということは現実的では無いのでどのような戦略を思考しているのかは現時点では不明確です。

⑤廃棄物リサイクル率 90%以上

 プレスリリース上は「最終処分となる廃棄物を減らす為に、廃棄物リサイクル率を高めて参ります。」とのみ記載されているのみなのでこちらも具体的な対策は名言を避けています。これはむしろ物件のオーナーである投資法人の場合、問題となりそうなのは工事により発生する廃棄物ではないかと推察します。つまりスポンサーが資本的支出・修繕工事を行う場合に付随的に発生することになります。投資法人に何ができるかという点についてはスポンサーと足並みを揃える必要があるため現時点では保留しているという状況ではないでしょうか。

 結果としてはCO2削減は創エネ物件の取得は不動産マーケット次第であるというところを除けば2030年以内には実現可能性は高いと思います。問題はテナントの環境に対する意識は思っているほど高くないという点。そしてたとえ日本でジャパンリアルエステイト投資法人のような戦略が浸透したとしても日本以外の国でガンガンCO2を排出していたら取り組に意味が無いとはいいませんが環境は改善しないと思います。それでもサスティナビリティ戦略においてここまで目標を掲げ資産運用会社の人出も割いているのはジャパンリアルエステイト投資法人だけなの他の投資法人の模範となることは間違いないと思います。