2020年3月期決算のJ-REITのNAV倍率、含み益、稼働率の推移を見ていきます。

・NAV倍率
20200603J-REIT3.9月決算NAV倍率推移
20200603J-REIT3.9月決算NAV倍率推移2
 
 2020年2月期の株式マーケットは、米連邦準備制度理事会(FRB)が緊急利下げに踏み切り主要国の長期金利が低下したことは支えながら、新型コロナウイルス対策としてトランプ米大統領が発表した欧州からの渡航禁止措置が、世界景気を一段と押し下げるとの警戒感が広がりました。欧州中央銀行(ECB)が利下げを見送ったことなどで失望感が広がったことも投資家心理を悪化させました。投資家の過度なリスク回避から、J-REIT市場も売りが加速し、東証REIT指数は一時4年半ぶりに1,500ポイントを割り込むなど荒れた展開になりました。4月まで底打ちを探る展開が広まる訳ですが、FRBが大幅な利下げに踏み切るとともに米国債などを大量に購入する量的緩和政策を再開したこと、日銀がJ-REITの買い入れの上限を年間約1,800億円に倍増したことは支援材料です。日銀は3月6、9、10、12、13日にJ-REITを各12億円、合計60億円買入れました。

 また、現状のJ-REITの予想分配金利回りは4.8%程度まで上昇することもあり、魅力的な水準です。特に大型のJ-REIT銘柄はかなり投資口価格が下がっています。今後も上昇していくと思われるので利回りで購入するのもありですが、普段購入できない銘柄を購入するタイミングでもあるのではないでしょうか。ただ、コロナウイルス拡大前までの水準まで持っていくにはまだ時間がかかると思います。東京オリンピックは来年に延期になりましたが来年も今年と同様に緊急事態宣言が発令される可能性もあるので今年中の投資口価格のピークが来るのではないかと推察しています。


・含み益
20200603J-REIT3.9月決算含み益推移
20200603J-REIT3.9月決算含み益推移2

 含み益は鑑定評価額-帳簿価格で算定しています。期末の帳簿価額は取得時の帳簿価額から減価償却費を引くことで算定されます。含み益で気になるのは大和証券リビング投資法人の負ののれんのことだと思います。物件を鑑定評価額で受け入れることから正ののれんかと思いきや現状では2020年3月31日時点の投資口価格から算定すると約11億円の負ののれんが計上される予想となっています。この負ののれんは毎期取崩し分配金に充当される予定とされているためこれはポジティブな情報だと思います。

 他の投資法人については順調に含み益を積み上げている状況なので売却損を計上しての売却が行われる可能性は低そうです。森トラスト総合リート投資法人、グローバル・ワン不動産投資法人はかなり大きな含み益が見込まれるので仮にコロナウイルスの第二破、第三破がありレンダーのJ-REITに対する融資姿勢が悪い方向に振れたとしても物件の売却で借入金返済をしても売却益を取り崩すまたは、積み立てることで分配金減少を防ぐこともできるので安定性は高まります。ただ、売却しない限りは含み益は実現しないので売らない限りは理論値にすぎないんですけどね。


・稼働率
20200603J-REIT3.9月決算稼働率推移
20200603J-REIT3.9月決算稼働率推移2

 3月・9月投資法人の投資法人の稼働率は総じて高めです。2-3月の入退去や引っ越しが重なるシーズンだとしても高い水準だと思います。気になるところはケネディクス商業リート投資法人のテナントの客足ですよね。スーパーやコンビニのような生鮮食料品、日用品を扱うテナントが入居しているもしくは、ドラッグストアがテナントである場合はテナント自身の売上は良好であると考えられるので投資法人はオーナーとして変動賃料が多く受け取れる可能性があります。そしてケネディクス商業リート投資法人はそういったタイプの入居する商業施設が主力です。反対に福岡リート投資法人や投資法人みらいといったレジャー目的の機能を備えてる投資法人の場合はこれからの物件ポートフォリオについては考えないといけないですね。大和証券リビング投資法人も合併したとはいえ主力はレジデンスです。98.7%の稼働率は過去から見ても高い方だと思います。レジデンスの方はコロナウイルスによる影響はそれほど無いと思いますが、その所有形態には変化の話を時々聞くようになりました。つまりどこに暮らしていてもウイルスの影響があるなら、マンション、戸建ての購入ではなくて賃貸の方が得なのではないか?と考える人が増えているようです。レジデンス系J-REITも内部成長の機会に恵まれるくらい賃貸派が増加してくれれば良いですけどね。