2020年7月9日に日本格付研究所(JCR)がヘルスケア&メディカル投資法人の格付けを据え置くと発表しました。

 ヘルスケア&メディカル投資法人は2015年3月に上場したヘルスケア施設特化型のJ-REIT。主要スポンサーである三井住友銀行、NEC キャピタルソリューション及びシップヘルスケアホールディングスがそれぞれ有する「金融」「ファンド運営」「介護・医療」の各分野でのサポートを享受しながら、安定的な資産運用と中長期的な資産の拡大を図る方針で運営されています。

格付事由

 2020年6月末時点のポートフォリオは、病院不動産を含むヘルスケア施設36件、取得価格総額約662億円の規模。このうち、旗艦物件である「シップ千里ビルディング」の割合が全体の20%近くを占めており、足元の運営状況に特段の問題は見られないものの、ポートフォリオの一層の分散化が望まれています。
 一方、各施設はいずれもオペレーターとの間で長期・固定賃料での賃貸借契約(平均残存年数13.9年)が締結されていることから賃料収入に係る変動リスクは限定的です。
 資金調達の面では、三井住友銀行を中心とする強固なレンダーフォーメーションと、2020年1月期末で47.6%と引き続き50%前後のLTVコントロールにより安定的な財務運営が継続されています。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大への懸念がいまだ払拭されない中、オペレーターや金融機関、投資家の動向も含めヘルスケア施設を取り巻く市場環境に与える影響については慎重に見定めていく必要があります。以上を踏まえ、格付を据え置き、見通しを安定的しました。

格付評価

対象:長期発行体格付、格付:A、見通し:(安定的)
対象:第1回無担保投資法人債(ソーシャルボンド)、格付:A


 直近では、2020年6月に手許現金と新規借入によって有料老人ホーム「サニーライフ鎌倉」を約14億円で取得しています。足元では、新規開発物件も含め大手オペレーターによる運営施設を中心に100億円超のパイプラインが積み上げられている模様。引き続きスポンサーサポートを活用しながら、どのように外部成長を進めていくことができるか、資産運用会社の取り組みをフォローしていくとしています。

 財務面では、2020年1月の投資法人債と借入金によるリファイナンス、及び2020年6月の物件取得に伴う新規借入の結果、2020年6月末時点で固定金利比率97.9%、平均借入残存年数3.0年と資金調達の固定化及び長期化、調達先の多様化が図られています。また、これらのファイナンスはいずれも全額ソーシャルファイナンスとして資金調達しており、ESGを重視した投資家の目線をより意識した取り組みとなっていることも評価されています。


 紹介していませんでしが、ヘルスケア&メディカル投資法人は2020年6月29日にサニーライフ鎌倉を取得しています。

20200714サニーライフ鎌倉
【写真引用元:サニーライフ鎌倉PRより】

取得資産の概要

  ①取得資産:サニーライフ鎌倉
  ②取得価格:1,418百万円 
  ③鑑定評価額:1,550百万円(2020年5月31日時点)
  ④売買契約締結日:2020年6月23日
  ⑤引渡日:2020年6月29日
  ⑥取得先:合同会社MYGK3 号
  ⑦取得資金:借入金及び自己資金
  ⑧支払方法:引渡時全額支払
  ⑨立地:2014年11月に開設された、㈱川島コーポレーションが運営する定員128名の住宅型有料老人ホームです。湘南モノレール線「湘南町屋」駅徒歩約3分と交通アクセスが良く、居住者、従業員、訪問者等の施設関係者にとって、恵まれた立地条件となっています。良好な立地特性や充実したサービス体制を背景に相応の競争力を有し、高い入居率を確保しています。