2020年7月15日にエネクス・インフラ投資法人の2020年11月期中間決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり予想分配金6,000円については変更ありません。

固定価格買取制度がどうなろうがインフラファンドである以上は外部成長は必要
20200726エネクス・インフラ投資法人財務指標

 2020年11月中間期はエネクス・インフラ投資法人は、規約に定める資産運用の基本方針等に基づき、資産規模の拡大及び純利益の底上げを図るべく、2020年1月17日付で長崎県長崎市に所在する長崎琴海太陽光発電所(パネル出力)2.6MW、取得価格)1,097百万円)を新規借入れ及び自己資金により取得しました。その結果、2020年11月中間期末時点の取得済資産は、6物件(合計パネル出力40.2MW、価格合計17,491百万円)となりました。2020年11月中間期期の実績として営業収益787百万円、営業利益156百万円、経常利益108百万円、中間純利益108百万円となりました。

 決算短信発3ページに詳細に説明されていますが、電側基本料金の導入が検討されています。発電側基本料金は、現在は小売電気事業者(需要側)のみが託送料金を通じて負担している送配電関連費用について、電力系統の利用者である発電側にもその一部を負担させる制度で、現在、電力・ガス取引監視等委員会の審議会において、2023年度に導入することを目指して制度の詳細設計が検討されているということが今後インフラファンド全体の収益を悪化させる要因となりそうです。


新生銀行からの借り入れは慎重に!!

 2020年11月中間期においては、2020年1月17日付で、長崎琴海太陽光発電所の購入資金の一部として、㈱新生銀行より1,210百万円(タームローンC:借入額605百万円、最終返済期限2038年5月、タームローンD:借入額605百万円、最終返済期限2038年5月)を調達しました。また、2020年11月中間期中において、消費税ローンを含めた約定返済1,630百万円及び受取保険金による一部期限前返済2百万円を行った結果、2020年5月末現在の借入金残高は10,742百万円となり、LTVは55.4%となりました。尚、2020年5月時点の格付けは以下の通りです。
・㈱日本格付研究所(JCR):長期発行体格付:A-、格付の見通し:安定的

 私の近辺だとエネルギー業界。とりわけ新電力と言われる界隈(太陽光発電所等発電所を建設するような会社)だと㈱新生銀行の評判はかなり悪いです。J-REITに対してもそうですが地震や台風などにより発電所の売電がストップまたは、発電所自体が損傷した場合は露骨に貸し剥がし対象になるようです。これは数か月前に聞いた話ではなくこの記事が開示される4日前に聞いた話です。
 エネクス・インフラ投資法人の場合、スポンサーとして三井住友信託銀行がおり、そこからの借入れが多くなりがちです。そのことは資産運用会社も理解しているようでレンダーポートフォリオのバリエーションを増やしたいと思案していると存じますが、インフラファンドに関して言うと新生銀行からの借り入れは優先順位として高くする必要は無いと思います。

 面白いと思ったのが決算説明会資料の6ページの「高い流動性」ということで高い投資口の売買回転率を自慢しているところです。他インフラファンドより突出した売買回転率ということでものは言いようだと思います。要するに長期投資に向いていないということも言えます。(利回りが投資家さんの想定と違うため売買されているということ)特に4~5月についてはインフラファンド全体的に投資口価格が減少していたことも売買を活発化させる原因であったのではないかと思います。投資口数の投資家タイプの推移は証券事務を請け負う信託銀行から得ることができるはずなのでもう少し踏み込んで開示していただけたらと思います。