2020年8月19日にジャパンエクセレント投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が2,960円のところ2,960円で着地しました

コロナ環境下で賃料ギャップが更に開く可能性も
20200825ジャパンエクセレント投資法人NOI・NCF利回り

 2020年6月期は2020年2月3日にスポンサーである日鉄興和不動産㈱より、グランフロント大阪(うめきた広場・南館)(取得価格4,868百万円)、グランフロント大阪(北館)(共有持分2.45%相当)(取得価格3,982百万円)の取得を行いました。譲渡については2020年3月27日にJEI西本町ビル(準共有持分80.0%)を売却価格9,010百万円で、2020年6月26日に興和川崎西口ビルを売却価格7,560百万円で実施しました。2020年6月期末における投資法人の全保有運用資産は35物件、取得価格総額は2,733億円、総賃貸可能面積は332,701.82㎡(100,642.30坪)となっています。2020年6月期の業績は、営業収益12,717百万円、営業利益6,290百万円、経常利益5,631百万円、当期純利益5,631百万円となりました。
 このジャパンエクセレント投資法人も行った取り組みを完結に書きすぎる傾向にあるため内部成長についての取り組みが見え辛いですね。一応、ジャパンエクセレント投資法人は賃料ギャップを弱点と感じているようで既存契約の6割超がマーケット賃料を下回る状況ということです。賃料ギャップは不動産マーケットの平均賃料と実際賃料との差のことを言うのですが、ジャパンエクセレント投資法人のように大規模物件の場合は1テナントごとも多くなります。そして、例えば2年契約と考えると賃料ギャップを埋めるには2年後の賃貸借契約の更新時に賃料増額を交渉するか、追い出して新テナントを高い賃料で入居させるしか有りません。不動産マーケットの平均賃料が下がるのを待つというのもありますが資産運用会社としてボーと待っていることは論外です。ただし、コロナウイルスの影響で賃料減額交渉も増加する可能性もあるのでマーケット賃料まで引き上げるには時間がかかると思います。


財務戦略の進捗は上々

 ジャパンエクセレント投資法人は長期かつ固定金利にて資金調達することを基本とし、中長期に安定かつ健全な財務運営に取り組んでいます。2020年6月期は、1月にグランフロント大阪等を取得する資金として公募増資を実施し、約79億円を調達するとともに、期限の到来した借入金86億円についてリファイナンスを行い、平均借入期間を6.8年から8.9年に長期化しました。また4月には公募増資及び物件売却により得た資金により、短期借入金40億円を期限前弁済しました。これらの結果、2020年6月期末における有利子負債平均残存期間は4.5年(対前期末比0.3年長期化)、期末平均有利子負債金利は0.75%(対前期末比0.02%低下)、LTVは42.8%(対前期末比2.1%低下)となりました。
 このほか、投資法人は、資金調達の安定化及びリファイナンスリスク軽減を図るべく、従来から継続して借入極度額140億円のコミットメントラインを設定しています。尚、2020年6月期末で投資法人が取得している格付は以下のとおりです。
ムーディーズ・ジャパン(Moodys)、発行体格付:A3 格付の方向性:安定的 
㈱日本格付研究所(JCR)、長期発行体格付:AA- 格付の見通し:安定的 

 財務戦略として資金調達手段の多様化による調達基盤の維持・強化の観点から、金融市場環境を注視しつつ、グリーンボンドなどの新しい調達にも取り組んでいくとしていますが、2020年9月30日付けで弁済期限が到来する、赤坂インターシティAIRの取得資金の一部として借入れたグリーンローン20億円の弁済資金に充当するため借入金額20億円、借入期間2年のサステナビリティローンをに関するお知らせを発表しており、財務戦略の進捗は順調のようです。