2020年9月4日に大和証券オフィス投資法人が投資法人債(グリーンボンド)を発行すると発表しました。大和証券オフィス投資法人は2020年7月17日にグリーンファイナンス・フレームワーク策定し、8月4日にはグリーンボンド発行に向けた訂正発行登録書の提出を発表していました。

グリーンボンドとしての適格性について

 大和証券オフィス投資法人は、グリーンボンドの発行を含むグリーンファイナンス実施のために、「グリーンボンド原則(Green Bond Principles)2018年版」、「グリーンボンドガイドライン2020年版」、「グリーンローン原則(Green Loan Principles)」及び「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2020年版」に即した本フレームワークを策定しています。
 また、投資法人は、フレームワーク及びグリーンボンドの発行に対する第三者評価として㈱日本格付研究所(JCR)より、「JCRグリーンファイナンス・フレームワーク評価」及び「JCRグリーンボンド評価」の最上位評価である「Green1(F)」の評価及び「Green1」の予備評価をそれぞれ取得しています。
 なお、投資法人債に係る第三者評価を取得するに当たって、環境省の2019年度グリーンボンド発行促進体制整備支援事業の補助金交付対象となることについて、発行支援者であるJCRは、一般社団法人グリーンファイナンス推進機構より交付決定通知を受領しています。

グリーンボンドといっても用途は既存借入金の返済ばかり

 最近の財務戦略のトレンドとしてサスティナビリティを意識したESG投資家からJ-REITへ投資を促すことを考え、グリーンファイナンスへ取り組んでいます。グリーンファイナンスで調達した資金を、グリーン適格資産の取得資金又は同資金のリファイナンスに充当するためです。

 実際にはグリーン適格資産取得資金のリファイナンスに充当することが多く、取得資金には充てられていないというところが実態です。つまり、取得資金に充当できないということは機動性が大きく損なわれているということが挙げられます。投資法人債を引き受けている金融機関も地方の信用金庫、信用組合ばかりという感じで、とても環境やサステナビリティなんか興味が無い方達が引き受けているというのもどうかと思います。

 もちろんこれは調達する側に原因があるのでは無く、そもそものスキームが煮詰めきれていないのではないかと思っています。ESG投資に積極的な投資家はよりダイレクトに環境や社会に貢献にできる事業を営む企業への投資を考えています。実態としての用途がリファイナンスではその関りは間接的すぎると言わざるを得ません。格付けで裏付けるにもJCRに限定しないといけない理由も良くわかりません。投資法人としてはインパクト・レポートの結果がESG投資家さんにどう評価されているか分からないんですよ。