2020年9月16日にアドバンス・レジデンス投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が5,600円のところ5,635円で着地しました。

賃料水準2期連続上昇は素晴らしい
20200929アドバンス・レジデンス投資法人NOI推移

 2020年7月期の外部成長は前期に取得を決定した9物件(取得価格合計154億円)の内、未取得であった4物件(取得価格合計60億円)の取得を完了しました。新規の取得については、第三者との物件の入替売買に伴い、築1年のレジディア大手町北を取得しました。売却したレジディア京橋の築年数が15年強であったことから築年数は大幅に若返り、収益も増加する見通しです。

 また、含み損の解消目処が立たず、長年懸案であったレジディア亀山と低収益物件のレジディア緑地公園(取得価格合計21億円)を売却することができました。レジディア亀山の売却により売却損を計上するものの、レジディア京橋及びレジディア緑地公園の売却益でほぼ相殺し、通期では差引き5百万円程の損失に抑えました。

 一方、内部成長はコロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛により新規申込件数が減少したため、募集条件を緩和することで歩留率を高め、稼働率の維持に努めました。また、期中の募集条件の緩和にも関わらず、賃料水準の引上率を過去最高となりました。解約件数は、3月を除き、前年同月比ほぼ横ばいで推移しましたが、新規申込件数は、4月には前年同月比41.9%減、5月が同31.1%減と急減しました。緊急事態宣言解除後には新規申込件数の回復がみられ、募集条件を緩和し歩留まりを高めることで、業績予想の稼働率を+0.1%上回りました。テナント入替時及び更新時の賃料の増減率はそれぞれ+5.5%、+1.2%と過去最高となり、コロナ禍の影響が軽微であった最繁忙期での積極的な引き上げが寄与しました。また、ポートフォリオ全体の賃料水準については、12期連続で上昇し、前期末に比べ0.64%引き上がりました。


安定性の高いレジデンスでレンダーの評価も上々

 アドバンス・レジデンス投資法人は財務戦略として金利動向を注視し、引き続き金融コストの維持・低下、借入金等の返済期限の分散化に留意しつつ、長期・固定金利の借入金を中心とした資金調達を実施します。これにより、環境の変化に耐えうる財務基盤の構築を図ります。

 財務戦略の基本方針は、有利子負債の調達金利の低減とそれに伴う残存年数の長期化、金利の固定化、返済期日の分散化です。2020年7月期、コロナ禍においても、金融機関の本投資法人に対する貸し出し姿勢に変化はなく、総額150億円(平均支払金利0.38%、平均調達年数9.0年)の借入れを実施できました。これにより2020年7月期末の平均支払金利は0.70%となり、前期の0.73%から支払金利の低減を実現しました。また、残存年数は4.64年から4.75年に長期化し、平均支払金利低減と合わせて財務基盤の一層の強化が図ることができました。2020年7月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱格付投資情報センター(R&I)、発行体格付:AA-、格付の方向性:安定的 
・㈱日本格付研究所(JCR)、長期発行体格付:AA、格付の見通し:安定的