2020年10月16日に福岡リート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,150円のところ3,250円で着地しました。

これからは物流施設の拡大に期待
20201029福岡リート投資法人・NOI推移

 2020年8月期において、2020年5月29日に東比恵ビジネスセンターⅢ、2020年6月30日にロジシティ若宮、2020年7月1日にホームプラザナフコパークプレイス大分店の計3物件を取得し、2020年8月期末では、商業施設11物件、オフィスビル9物件及びその他11物件の合計31物件の運用を行いました。
 既存物件の運用状況は、オフィスビル、物流施設及び住宅のアセットタイプは堅調な運用実績となる一方で、キャナルシティ博多等の主要商業施設及びホテルでは2020年3月以降は前年を下回る売上高で推移しています。2020年8月期末のポートフォリオ(取得価格ベース)を投資対象エリア別で見ますと、福岡都市圏への投資比率が76.6%となっており、投資タイプ別の投資比率は、商業施設58.0%、オフィスビル27.7%、その他14.3%となっています。2020年8月期の営業収益は8,518百万円となり、賃貸事業費用や資産運用報酬等の営業費用を控除した後の営業利益は2,966百万円、経常利益は2,587百万円、当期純利益は2,586百万円となりました。


格付けは変化なし

 2020年8月期において1,000百万円のリファイナンスを行うとともに、4,900百万円の新規資金調達を行った結果、2020年8月期末における有利子負債残高(投資法人債を含みます。)は82,400百万円となりました。期末総資産有利子負債比率(投資法人債を含む。)は41.4%、期末固定化比率(有利子負債の中で金利固定のものが占める割合です。投資法人債を含む。)は94.1%となっています。また、株式会社福岡銀行をエージェントとするコミットメントライン契約(極度額:60億円)について、コミットメント期間を2年間延長し、コミットメントラインの残存期間を3年間に長期化しています。
 今後も返済期日の分散及び長期化によるリファイナンスリスクの軽減に努めるとともに、借入金利の固定化等で金利上昇リスクの軽減に努めていきます。2020年8月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱格付情報センター(R&I)、発行体格付:A+、格付の見通し:安定的 
・㈱日本格付研究所(JCR)、長期発行体格付:AA-、格付の見通し:安定的 

 今後の投資方針については、今後も規約に定める基本方針及び「成長余力の高いマーケット」と「競争優位を発揮できる得意分野」の重なる領域を投資対象とするという基本的な考え方に基づいて行います。投資対象エリアでは、福岡・九州地域のうち、福岡都市圏に対する投資比率を60~90%と設定していますが、その福岡都市圏は将来的にも高い人口成長率が見込まれる地域であり、福岡都市圏以外の主要都市においても、地元に密着したローカルの視点から、投資メリットを確保できる地域又は物件について投資を行うことを継続していくようです。

 地元ならではの情報収集力、土地勘あるいはスポンサーをはじめとした地元経済界や行政とのネットワークなど投資法人の持つ強みを十分に活用して、今後も投資家の皆様に安心して投資して頂ける質の高い物件を取得していくということです。別に悪いということはないですが、地元経済界や行政とのネットワークという点が「ザ・地方」という感じがしますね。コロナが広まっても投資スタンスをほぼ変えないところは評価が分かれるところですが、スポンサーの福岡地所も地元の大企業ですから「逃げない」という選択肢を決定したとも取れます。商業施設であるため独自の施策が必要だとも感じますがそれは「地元に密着したローカルの視点」に期待したいところです。