2020年12月14日に菅義偉首相が、首相官邸で開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部で、観光支援事業「Gotoトラベル」について、12月28日から2021年1月11日まで、全国一斉に利用を一時停止すると表明しました。
 従来の札幌、大阪両市に加え東京都と名古屋市を目的地とした旅行については、全国に先立ち今月27日まで事業の対象から除外する。首相は東京と名古屋を出発する分は利用を控えるよう求めたということです。

 厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」では11月10日に、感染状況について「新規感染者数は、過去最多の水準が続いており、引き続き最大限の警戒が必要な状況」であるとして、これを受け、新型コロナウイルス感染症対策分科会は11月10日にステージ3(感染急増)相当の地域では、一時的にトラベル事業を停止するよう再度求める提言を行っていました。

 ドイツではロックダウンを実施することが発表され、日本でも当面全国的にGotoキャンペーンが中止ということで、ホテル系J-REITは痛いところです。しかし、レジデンス系J-REITはその安定性を発揮できると思います。リモートやテレワークで実施できる仕事は限られていると思いますし、4-5月の緊急事態宣言開けでも結局会社通勤する人は戻ってきたように地方に移住した人も東京都内に戻ってくる可能性は高いと思います。地方に分散したとしてもそれほど良い物件も少ない状況なのですし、そういった場合は東京都内のマンションを売却し地方のマンションを取得するだけなのでどちらにしろレジデンス系J-REITは安定の道を進んでいくと考えられます。


 また、アドバンス・レジデンス投資法人、スターツプロシード投資法人で2020年10月の直近のコロナ禍の影響についてに開示されているのでご紹介します。

アドバンス・レジデンス投資法人の10月稼働率の状況
20201215アドバンス・レジデンス投資法人10月稼働率

 10月度、稼働率は95.8%と前月から0.3%低下しました。毎年10月は、前月から稼働率が低下する傾向にあり、低下幅は前年と同等で、成約及び解約も共にほぼ昨年並みでした。申込件数も、昨年と同水準まで回復しました。
 11月は、前年同月よりも多くの解約が見込まれています。このような状況を受け、諸施策を講じた結果、申込件数が回復傾向にあることから、11月は稼働率の低下が抑えられるものと考えています。なお、10月にて賃料一時減額中のテナントは、商業テナント2件のみとなっています。 
20201215アドバンス・レジデンス投資法人10月入退去

 月次解約戸数を見ると8月・9月は解約が多いものの10月は2019年同水準の377戸となっています。新規契約戸数は8月以降はわりと高めの水準ではないでしょうか。10月は286戸成約しており稼働率は95.8%と残念ながら業績予想前提の稼働率が96.0%なので予想を▲0.2%下回っています。

【出典:アドバンス・レジデンス投資法人直近のコロナ禍の影響について2020年10月】


スターツプロシード投資法人の10月エンドテナント賃料の滞納発生状況

 スターツプロシード投資法人は2020年8月からエンドテナント賃料の滞納発生状況について開示しています。月次の稼働率はプレスリリースでは開示されていません。
20201215スターツプロシード投資法人10月賃料滞納発生状況

【出典:スターツプロシード投資法人PRより】

 8月は賃料の滞納発生率は0.46%でしたが9月0.49%、10月0.52%と徐々に上昇してきました。

 解約戸数、成約戸数を開示して欲しいところですが、スターツプロシード投資法人の場合はマスターリース契約(ML契約)を締結している物件が多いことからエンドテナント賃料が全て収益に直結している訳ではないんですよね。(エンドテナントが滞納してもML会社から賃料が貰える契約つまりML会社では赤字が発生しています。ML会社はスターツアメニティー㈱であることから赤字はスポンサーグループで負担しているということです。)

 総務省発表の住民基本台帳人口移動報告では2020年(令和2年)10月の移動者数は37万201人で,前年同月に比べ2万2,467人の減少。日本人移動者数は34万1,034人で,前年同月に比べ5,933人の減少と発表していますが、それでもアドバンス・レジデンス投資法人、スターツプロシード投資法人はよく検討しているのではないでしょうか。