2020年12月14日にケネディクス・オフィス投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が14,500円のところ15,384円で着地しました。

コロナ環境下でも積極的な外部成長を図る
20201221ケネディクス・オフィス投資法人NOI推移

 ケネディクス・オフィス投資法人は、前期末(2020年4月期末)時点で、合計99物件(取得価格の総額432,835百万円)の運用資産と匿名組合出資持分(当初出資金額1,107百万円)を保有していました。2020年10月期においては、オフィスビル1物件(新橋M-SQUARE Bright:取得価格16,300百万円)を取得し、2物件(KDX日本橋本町ビル:取得価格4,000百万円、KDX日本橋江戸通ビル:取得価格1,350百万円)を譲渡しました(譲渡価格の総額6,550百万円)。

 その結果、2020年10月期末のポートフォリオ(匿名組合出資持分を除きます。以下同じです。)は、合計98物件(取得価格の総額443,785百万円)となり、取得価格に基づく用途毎の割合は、オフィスビル99.4%、その他0.6%となっています。また、2020年10月期末のポートフォリオの稼働率は98.1%と、引き続き高稼働率を維持しています。

 リーシング面においては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けながらも、仲介業者との親密なリレーションによる積極的な新規テナントの誘致や、既存テナントとの良好な関係を活かした増床ニーズの取り込みを行いました。また、オフィスビルの競争力維持・向上を図るべく、専有部照明器具のLED化、外壁の改修、空調設備・エレベーターの更新等も計画的に実施しています。

 こうした取り組みを積み重ねてきましたが、新型コロナウイルスの影響による経済活動の停滞等を背景とした、オフィスビル移転検討の一時的凍結等の動きがみられた結果、本投資法人の保有するオフィスビルの稼働率は、2020年10月期末において、東京経済圏のオフィスビルで98.0%となり、オフィスビル全体では98.1%になりました。

 投資法人の保有するオフィスビルのエンドテナントの数は、2020年10月期末で1,115件であり、テナント分散が進んでいます。また、ポートフォリオ全体に係る賃貸面積の合計に占めるオフィスビル上位10エンドテナントの賃貸面積割合は10.6%です。更に、本投資法人が保有するオフィスビルには、様々な業種のテナントが入居しています。このため、本投資法人の収益は特定のエンドテナントの退去や、特定の業種における業績の低迷による影響を受けにくく、安定した収益を継続して得ることができると考えています。上記の運用の結果、2020年10月期の業績は、営業収益16,714百万円、営業利益8,334百万円、経常利益7,311百万円、当期純利益7,310百万円となりました。


財務戦略はグリーンボンドの発行でESG投資家へのアピールを強める

 投資法人は、サステナビリティへの取組みを一層強化すると共に、ESG投資に積極的な投資家層への投資機会の提供により、国内グリーンボンド市場の発展に寄与することが可能と考え、2020年10月20日に第12回無担保投資法人債(グリーンボンド)(総額1,000百万円、期間10.0年)を発行し、KDX武蔵小杉ビルの取得資金への充当を目的として調達した借入金(その後の借換えによる借入金を含みます。)の返済資金1,000百万円に充当しました。この結果、2020年10月期末で投資法人債残高は11,000百万円となっています。

 投資法人は、有利子負債の返済期限を分散することにより、リファイナンスリスクを軽減することを目指しています。2020年10月期においては期中に返済期日が到来した借入金11,100百万円の返済資金として同額の借入れを行うと共に、物件の取得に際し、新たに9,700百万円の借入れを行っています。また、投資法人債の状況に記載のグリーンボンドによる調達資金1,000百万円により、1,000百万円の期限前弁済を行っています。

 その結果、2020年10月期末で借入金残高は190,750百万円(短期借入金12,500百万円、長期借入金178,250百万円)、投資法人債残高は11,000百万円、有利子負債残高は201,750百万円となっています。なお、2020年10月期末の変動金利による長期借入金のうち、121,400百万円については、金利上昇リスクをヘッジするため金利スワップの活用により実質的に金利を固定化しています。有利子負債全体では、長期負債比率は93.8%、長期固定化負債比率は93.0%となっています。
 
 これらの結果、2020年10月期末の有利子負債の平均残存年数は4.5年となり、平均金利は0.94%に、有利子負債比率は43.9%となっています。2020年10月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱日本格付研究所(JCR)、長期発行体格付:AA-、格付の見通し:安定的、債券格付:AA-