2021年3月11日に帝国データバンクから㈱ビスタホテルマネジメントが東京地裁へ民事再生法の適用を申請、同日保全・監督命令を受けたと発表しました。㈱ビスタホテルマネジメントは「ホテルビスタ」ブランドのホテルチェーンを展開しています。

 ㈱ビスタホテルマネジメントは2006年9月に設立。ユニ・アジアグループリミテッド(シンガポール上場)傘下で、ビジネスホテル「ホテルビスタ」を運営していた。一般的なビジネスホテルよりも上質な設備とサービスを特徴とし、ユニットバスではない3点独立型のバス・トイレ・洗面台や高級ベッドを備え、一般個人を中心とするリピート客を獲得して高い稼働率を誇っていたということです。

 近年はインバウンド需要の取り込みを狙って出店を加速。2018年には新たに札幌、東京、広島、金沢、京都にオープンし、業績も順調に拡大させて2019年12月期には年収入高約71億1400万円を計上していた。さらに2020年にも東京、大阪、愛媛で新たに開業するなどして、店舗数は全国19店舗(2020年10月末時点)に達していました。しかし、人件費や開業費用の負担などでもともと高コスト体質であったうえ、新型コロナウイルスの感染拡大によりホテルの稼働率は大幅に低下。金融機関への返済猶予やホテルオーナーへの賃料減額、ホテルの開業延期やGo Toトラベル事業への参加等で立て直しに努めていたものの奏功せず、2020年12月期の年収入高は約35億8800万円に減少、自力再建を断念し、民事再生法の適用を申請することとなりました。負債は債権者約330名に対し約34億7700万円となっています。

ホテル系J-REITのオペレーターについて

 ・ジャパン・ホテル・リート投資法人

 ホテルビスタ蒲田東京というホテルを運用していましたが、チサンホテル蒲田に名称変更した上でオペレーターも変更しており、ジャパン・ホテル・リート投資法人が現状影響を受けることは無いでしょう。

 ・森トラスト・ホテルリート投資法人

 大型リゾートホテルが主力の森トラスト・ホテルリート投資法人にとって㈱ビスタホテルマネジメントをオペレーターにする理由が見つかりませんから当然付合いもありません。森トラスト・ホテルリート投資法人が現状影響を受けることは無いでしょう。

 ・星野リゾート・リート投資法人、大江戸温泉リート投資法人

 星野リゾート・リート投資法人が運用しているホテルの中に㈱ビスタホテルマネジメントが運営している宿泊施設はありません。元々「星野」ブランドで運用していく意識が強く、スポンサーである星野リゾートの影響力が強いため、他オペレーターに対しては塩対応なのでこちらも現状影響を受けることは無いでしょう。これは大江戸温泉リート投資法人も同様のことが言えると思います。

 ・いちごホテルリート投資法人

 運用物件ポートフォリオの中でビジネスホテルが多いのがこちらのいちごホテルリート投資法人。ですが、㈱ビスタホテルマネジメントが運用するホテルはありませんでした。ホテルビスタプレミオ京都を運用していましたが、2019年10月31日に売却したため現状影響を受けることは無いと考えられます。
 スマイルホテルブランドを運用するネストホテルジャパン㈱やコンフォートホテルブランドを展開する㈱グリーンズ、リブマックスブランドを展開する㈱リブ・マックスなど㈱ビスタホテルマネジメントとほぼ同様な事業を行うオペレーターが多いため今後これらのオペレーターが民事再生適用申請するようになると分配金だけでなく投資口価格も大きく下落しそうです。

 ・投資法人みらい

 投資法人みらいもいちごホテルリート投資法人同様にビジネスホテルが多い投資法人です。こちらも㈱ビスタホテルマネジメントが運営している宿泊施設はありませんでした。投資法人みらいのビジネスホテルはオぺレーターが集中することがないように分散を図っており、多いところでもネストホテルジャパン㈱がオぺレーターを務める物件が3棟、㈱スーパーホテルがオぺレーターを務める物件が4棟といった程度です。また、こちらはオフィスビルや商業施設、少数ですが物流施設も保有している「総合型」の形態をとっているので上記のホテル系J-REITよりも安全性は高いと言えるのではないでしょうか。

 ・インヴィンシブル投資法人
 
 皆さんが何故か大好きなインヴィンシブル投資法人ですが、こちらは保有ホテルの大半のオペレーターが㈱マイステイズ・ホテル・マネジメントというフォートレス関連企業様です。インヴィンシブル投資法人としては㈱マイステイズ・ホテル・マネジメントと被る企業をオペレーターとするつもりは毛頭ありません。既に賃料の減額で㈱マイステイズ・ホテル・マネジメントの救済は済んでおり他のオペレーターが破綻してもどうでも良いことです。投資家さんの分配金が減る程度ですから。
 

とばっちりを受けたのは・・・

 ・ザイマックス・リート投資法人

 ザイマックス・リート投資法人は「ホテルビスタ仙台」を保有しており、オペレーターより東京地方裁判所に民事再生手続開始の申立てを行い、受理されると共に、同地方裁判所より、保全処分命令及び監督命令が発令されたとの連絡を受ける結果となりました。
 ザイマックス・リート投資法人は今後の見通しについて「民事再生手続の進捗を注視し、テナントとの協議を進めるとともに、今後の方策について検討し、本件へ対応する予定」としています。 なお、テナントからは、本物件はテナントの事業の再建に必要不可欠なホテルであり、本物件に関する賃貸借契約を継続したい意向の書面を受領しております。運用状況に与える影響は現在精査中ということです。

20210315ホテルビスタ仙台
【出典:ザイマックス・リート投資法人HPよりホテルビスタ仙台】

 ザイマックス・リート投資法人はオフィスビルと商業施設が主力で、残りはホテルとレジデンスがそれぞれ1棟ずつという物件ポートフォリオです。今回はたった1棟を保有しているホテルでオペレーターが破綻するという結果になりました。救いなのはテナントが解約する意向ということなので解約してもらい売却するなり次のオペレーターを探すなりの次の行動に移しやすくなったということ。賃料は満額回収は難しいと思いますが・・・。ザイマックス・リート投資法人全体ではホテルビスタ仙台は取得価格ベースで2番目の大きさを誇る物件であったため分配金の減少は覚悟する必要がありそうです。