2021年3月17日にイオンリート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,489円のところ3,184円で着地しました。

生活必需品を扱うテナントによりコロナ禍でも安定性が高い

 2021年1月期は、自己資金を活用することにより新規物件を取得し、外部成長を着実に進めてきました。2020年10月に「イオン上田ショッピングセンター」(取得価額5,350百万円)を取得したことで、資産規模は3,955億円に拡大しました。内部成長としては、「イオンモール直方」、「イオンモール札幌平岡」及び「イオンモール下妻」の3物件において、火災時に煙の拡散を抑える防煙垂れ壁をガラス材質から不燃フィルムへと取り換える工事を行い、賃料増額を実現しました。当該防煙垂れ壁の取換えにより、被災時の防煙垂れ壁の落下による被害を最小限に防ぎ、被災からの復旧も迅速に行うことができる効果があり、防災・減災への取組みを行っています。2021年1月期の業績は、営業収益17,701百万円、営業利益6,802百万円、経常利益5,965百万円、当期純利益5,965百万円となりました。
 コロナ禍再拡大の中でも、生活インフラ資産として営業を継続好調な食品、日用品等が牽引、業績は底堅く安定して推移しており、商業施設でも生活必需品特化型のテナントを多く扱う商業施設であればテナントの事業はほぼこれまで安定的であるということがイオンリート投資法人の収支を見ると分かりますね。スポーツジムのような健康志向型のテナントや飲食店等が主テナントである商業施設はかなり厳しいようです。テナントポートフォリオの改善が一番収益に影響しやすいということも言えるので資産運用会社は今後強化すべき事項だと思います。


手元資金を利用しての物件取得を実現
20210330イオンリート投資法人NAV倍率推移

 2021年1月期の財務の動きは、2020年10月20日に返済期限の到来する借入金31,800百万円の借換え資金に充当するため、18,000百万円、4,000百万円、4,800百万円、5,000百万円(合計31,800百万円)の借入れを行いました。また、この内、18,000百万円については、2020年12月4日付で個人投資家を対象とした第7回無担保投資法人債(投資法人債間限定同順位特約付、発行総額18,000百万円)を発行し、当該手取金と一部手元資金をあわせ2020年12月21日に期限前返済をしています。
 投資法人の2021年1月31日現在の有利子負債残高は159,800百万円と、2020年7月31日時点と比較し、増減ありません。LTVは44.8%です。2021年1月31日現在の長期有利子負債比率(有利子負債合計に対する長期有利子負債(1年内返済予定の長期借入金を含む。)の割合)は100.0%及び金利の固定化比率(有利子負債合計に対する金利支払いが固定化された有利子負債(金利スワップで固定化された有利子負債を含む。)の割合)は100.0%であり、LTVとあわせて引き続き健全かつ保守的な財務体質を保持しています。財務基盤をより強固なものとするため、有利子負債の返済期限の分散化及び長期化に取り組んでいます。2021年1月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱日本格付研究所(JCR)長期発行体格付:AA-、格付の方向性:安定的