2021年4月12日に福岡リート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,150円のところ3,250円で着地しました。

天神エリアのオフィス需要取り込みを狙う
20210425福岡リート投資法人NOI・NCF・ROA利回り推移

 2021年2月期の福岡リート投資法人の運用状況は、オフィスビル、物流施設及び住宅のアセットタイプは堅調な運用実績となり、キャナルシティ博多等の主要商業施設では前期における新型コロナウイルス感染症拡大の影響による緊急事態宣言期間からの反動増となった一方で、ホテルでは観光需要等の戻りが弱いことから回復に至らない状況で推移しています。

 2021年2月期末のポートフォリオ(取得価格ベース)を投資対象エリア別で見ますと、福岡都市圏への投資比率が76.6%となっており、投資タイプ別の投資比率は、商業施設58.0%、オフィスビル27.7%、その他14.3%となっています。2021年2月期末では、商業施設11物件、オフィスビル9物件及びその他11物件の合計31物件の運用を行っています。運用の結果、2021年2月期の営業収益は8,904百万円となり、賃貸事業費用や資産運用報酬等の営業費用を控除した後の営業利益は3,061百万円、経常利益は2,677百万円、当期純利益は2,675百万円となりました。

 また、サステナビリティ方針に基づく、環境・社会・ガバナンス(ESG)への配慮を通じたサステナビリティを推進するために、投資法人が資産の運用を委託する資産運用会社である株式会社福岡リアルティにサステナビリティ推進委員会(構成委員は、代表取締役社長、運用部、投資部、財務部、企画部及びコンプライアンス部の各部長です。)を設置し、社内体制、社外関係者との協働、情報開示方針等について、具体的な目標や施策の検討、施策実行に関する進捗状況の把握を行っています。実務面では、サステナビリティ推進委員会で決定した目標に関する実務的な責任者であるサステナビリティ執行責任者(企画部長)の下にサステナビリティ推進室を設置し、GRESBリアルエステイト評価(Green Star)、責任投資原則(PRI)及び21世紀金融行動原則(PFA21)の継続業務等を行っています。

 レジャー性の高い商業施設のキャナルシティ博多-Bグランドビルを売却し天神西通りビジネスセンター底地の資産入れ替えを発表しています。底地の場合は賃料の増額は見込みづらいので成長性には疑問があります。キャナルシティ博多は集客力は強いのでコロナウイルスがどうにか落ち着けば成長性はこちらの方が有ります。今は変動性があるアセットよりも安定した収益を上げるアセットが欲しいという気持ちも分かります。しばらくは収益性より分配金の安定性に舵を切ったといえそうです。


コミットメントライン期間を1年延長
 
 2021年2月期末の有利子負債の状況ですが、有利子負債残高(投資法人債を含む。)は82,400百万円となりました。LTVは41.3%、期末固定比率(有利子負債の中で金利固定のものが占める割合です。投資法人債を含む。)は94.1%となっています。また、㈱西日本シティ銀行をエージェントとするコミットメントライン契約(極度額:70億円)について、コミットメント期間を1年延長し、コミットメントラインの残存期間を3年にしています。今後も返済期日の分散及び長期化によるリファイナンスリスクの軽減に努めるとともに、借入金利の固定化等で金利上昇リスクの軽減に努めていきます。また、2021年2月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱日本格付研究所(JCR)、長期発行体格付:AA-、格付の見通し:安定的