2021年3月期決算のJ-REITの収益性について分析しました。

・NOI利回り
20210603J-REIT3・4月決算NOI利回り
20210603J-REIT3・4月決算NOI利回り2

 NOI利回りのNOIは賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引き、減価償却費をプラスすることで算出しています。3月・9月決算の投資法人のNOI利回りは大和証券リビング投資法人は前期と比べ上昇したものの他の投資法人は概ね横這いとなりました。大和証券リビング投資法人は取得した8物件による賃料による賃貸事業収入が上昇291百万円上昇、共益費は15百万円上昇しています。
 ジャパンリアルエステイト投資法人は賃貸事業収入は減少しているものの、水道光熱費の減少幅が大きく▲268百万円の削減に成功しています。前年度と比べても▲291百万円減少していることから各物件のLED化工事の効果は上がっているようです。しかし、減少幅が大きいことから従来の電気会社から別の電力会社に変更したことの効果である可能性もあります。森トラスト総合リート投資法人も水道光熱費が前期、前年度よりも削減が進んでいます。同じくグローバル・ワン不動産投資法人も賃貸事業収入は前期と比べ減少しているもののこちらも水道光熱費や外部委託費(建物管理費やPMフィー)のコストを削減を進めています。特に建物管理費は固定費となるのでこの固定費を削減できているため将来に及び効果が続くため今後も進めていって欲しいですね。


・当期純利益率
20210603J-REIT3・4月決算当期純利益率
20210603J-REIT3・4月決算当期純利益率2

 3月・9月決算投資法人の当期純利益率で見ると、こちらも大和証券リビング投資法人の動きがあります。前期は合併による負ののれん発生益1,102百万円の影響により52.67%と高い数値で出ていましたが、2021年3月期は正常運航となり前期よりも減少している結果となりました。その特殊要因を除けばこれまでどおりの水準で37-38%が大和証券リビング投資法人基本的な当期純利益水準ということになります。森トラスト総合リート投資法人は森トラストホテルリート投資法人の経営悪化の影響もあり投資口価格は芳しくありませんが、上記の水道光熱費削減の効果により賃貸事業利益ベースでは前期よりも0.92%上昇し67.24%なっています。森トラスト総合リート投資法人の賃貸事業利益率が67%を超えるのは実は約8年ぶりです。
 3月・9月決算投資法人は森トラスト総合リート投資法人やグローバル・ワン不動産投資法人は普段からあまり外部成長の動きが少ない投資法人もいますが、2021年3月期はジャパンリアルエステイト投資法人も物件売却を行いませんでした。これで物件売却による影響が無い場合の当期純利益水準は44.3%-44.7%水準となっています。
 最後にケネディクス商業リート投資法人は代官山アドレス・ディセを売却したことで454百万円の売却益を計上しています。こちらは毎期物件の入替えで継続的に売却益を計上できている状況です。オフィスビル、商業施設はネットや雑誌で言われているよりも安定的しているというのが感触です。