2021年4月期決算のJ-REITの収益性について分析しました。

・NOI利回り
20210629J-REIT4.10月決算NOI利回り
20210629J-REIT4.10月決算NOI利回り2

 NOI利回りのNOIは賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引き、減価償却費をプラスすることで算出しています。一般的には稼働率が芳しくない状況が続いているオフィスですが、ケネディクス・オフィス投資法人のNOI利回りは嘘みたいに一定的に推移しています。こちらは退去からリーシングまでのアプローチがとてもスムーズにコントロールされていると考えられます。いちごオフィスリート投資法人とインベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人もNOI利回りに大きなブレはなく(インベスコに至っては微増)しています。しかし、稼働率ベースでは稼働率は減少傾向にあるため今後厳しくなってくる可能性があります。意外に検討しているのはトーセイ・リート投資法人ですが、こちらは香ばしいエリアの物件を取得することに特徴がありますが、香ばしすぎて競合物件が見つからずテナントが退去し辛いという利点が上手くいっているのではないでしょうか。

 星野リゾート・リート投資法人はホテルであるため星野リゾートを始めとしたオペレーターは緊急事態宣言や蔓防の影響で苦しい経営をしいられています。当然賃料が下がるため投資法人の営業収益も下がります。それでもNOI利回りは4.6%は良い方ではないでしょうか。そんな星野リゾート・リート投資法人よりもNOI利回りが劣っているのが積水ハウス・リート投資法人です。こちらは何度か述べていると思いますが単純に取得価格が高すぎます。積水ハウスリート投資法人は積水ハウスレジデンシャル投資法人を吸収合併したときに積水ハウスレジデンシャルの物件を時価で取得したため取得価格ベースで算定するNOIは悲惨な数値となります。物件自体はスポンサーが開発したレジデンスが主力なので質が低いということはないです。少数ですが、商業施設とホテルも保有していますが、どちらもコロナ禍では不利なアセットなので物流施設の取得を検討した方が良いのですが、変わりそうもないんですよね。


・当期純利益率
20210629J-REIT4.10月決算当期純利益率
20210629J-REIT4.10月決算当期純利益率2

 4月・10月決算投資法人を当期純利益率で見ると、全体的に物件売却が減ったものの概ね前期と変わらない水準ですね。レジデンスを除けばどのアセットも稼働率が減少傾向にあるため賃貸事業収入が減少し結果として当期純利益が減少します。どの投資法人も賃貸事業費用を削減することで利益を確保することで利回りを上げている投資法人が多くなっています。利益の絶対額で比較すると毎期成長する必要があるため利回りで勝負することは投資を経験されている方は誰でも存じていると思いますが、あえてここで述べておきます。

 ケネディクス・オフィス投資法人は通常は約40%前後ですが物件売却益により当期純利益が増加しており43%となっています。ですがKDX本厚木ビルでは▲198百万円の売却損が計上されておりケネディクス・オフィス投資法人としては約4年半ぶりに売却損を計上しての売却となりました。これは本厚木という立地のオフィスビルとしては価格は伸びないのは当然と言えば当然です。NTT都市開発リート投資法人はアーバンネット麹町ビルの売却益が1,921百万円が売却益として計上されたことにより前期40.7%から46.2%に上昇しています。
アーバンネット麹町ビルは大型のオフィスビルであるため、大規模なオフィスビルはリーシングが厳しくなると考えての売却である可能性も高いですね。

 積水ハウス・リート投資法人はNOI利回りでは見る影もありませんが、当期純利益率で見た場合、レジデンス主力の投資法人の中で利益率は高い方です。同じくレジデンス系のスターツプロシード投資法人と比べても高い位置で推移しています。