2021年4月期決算のJ-REITの安全性について分析しました。

・有利子負債利子率
20210630J-REIT4.10月決算有利子負債利子率
20210630J-REIT4.10月決算有利子負債利子率2

 4月・10月決算投資法人の有利子負債利子率はほぼ横ばいです。どの投資法人もリファイナンスにおける条件が変わっていないことから金融機関のJ-REITに対する評価は変更無しといった状況です。各投資法人は現在はグリーンボンドでの投資法人債の発行がトレンドの流れなのでこの流れでグリーンボンドを発行する投資法人は更に増えてくるでしょう。
 一番怖いと感じていたのはレンダーのホテルに対する評価ですが、実際には新規のホテル取得の場合の融資は止めているところがありますが、コロナウイルスのワクチン普及後は元に戻ると考えてるいる人はレンダーの中にも多く現状の融資のリファイナンスについてはほぼ同条件で継続しているようです。星野リゾート・リート投資法人もDSCRで支払利息の負担割合を見ると2020年10月期が17.6%と高い水準でしたが、2021年4月期は12.4%に減少しています。しかし、有利子負債利子率は0.754%と前期よりは上昇しているものの変動金利を導入している有利子負債による影響なので大きな変動はありません。DSCRが低いのはレンダーの融資条件の変更ではなく、当期純利益が減少しているため支払利息の負担割合が増加しているということになります。
 トーセイ・リート投資法人も若干不規則な動きをしていますが、こちらは2020年4月期からレジデンスの比率を高めておりLTVも高くなっており、新規の借入金の発行による影響です。また、ここのトーセイ・リート投資法人は投資法人債の発行を行っていません。格付けも取得しており、発行は比較的早期に準備できると思いますが今のLTVの水準からいくとまだ当分先になりそうです。


・LTV(有利子負債比率)
20210630J-REIT4.10月決算LTV推移
20210630J-REIT4.10月決算LTV推移2

 LTVは有利子負債÷総資産で算出しています。前期に比べるとLTVが上昇している投資法人が多いようです。上記でも述べたトーセイ・リート投資法人はレジデンスの比率を高めて安定性を強調しようという狙いがあると考えられます。2020年4月期にレジデンスが10棟増加しているのですが、オフィスビルの稼働率の影響が顕著になる前に取得できたところは良い判断であったのではないでしょうか。レジデンスを取得する際に公募増資で資金調達を行う場合、投資家さんの公募増資の応募状況は渋いことが多いです。レジデンスは安定性はあるものの将来性が低いと解され、資産有用会社(AM会社)が想定しているよりも資金が集まらい可能性が高いのです。そのためあらかじめ借入金の調達割合は大きくしておくという戦略をとります。公募増資で資金が集まらなかった分は借入金で賄い物件を取得する訳です。そのためレジデンス系J-REITは特にLTVが高くなり48%~50%となることが多いのです。
 プレミア投資法人から社名が変わったNTT都市開発リート投資法人も注目ですね。これは単なる社名変更で外部成長戦略も内部成長戦略も変更はほぼ無いと思っていましたが、財務戦略では大いに影響を与えています。スポンサー関連会社のNTTファイナンスから借入比率がっつり上昇しています。有利子負債のシェアは2020年10月期のNTTファイナンスは5位だったものが、2021年4月期は4位となっています。NTTファイナンスは数年前までは私募ファンドでしかみかけませんでしが、その存在感を増してきています。これはNTT都市開発リート投資法人となったことでスポンサー影響力が増大していることを意味します。