2021年8月18日にジャパンエクセレント投資法人の決算が発表されました。分配金は当初の予想一口当たり分配金が2,910円のところ2,938円で着地しました。

久々の外部成長により資産規模拡大
20210827ジャパンエクセレント投資法人NAV倍率推移

 2021年6月期はオフィスビル賃貸市場については、コロナ禍によるテレワークの促進や企業業績悪化による固定費の削減等の理由から解約増加の動きがみられました。三鬼商事㈱が公表した都心5区の空室率は上昇傾向にあり、2021年6月末の空室率は6.2%と2020年12月末に比べて1.7ポイント上昇しました。また平均賃料単価は2020年8月以降低下に転じ、2021年6月の同賃料は2020年12月に比べて3.8%低下しました。
 2021年6月にコアスポンサーである日鉄興和不動産㈱よりBIZCORE神保町(取得価格102億円)を取得しました。管理・運用面は、緊急事態宣言等によるリーシング活動の停滞の影響を受け、2021年6月期末の稼働率は96.4%と前期末比で1.6ポイント低下となりました。2021年6月期末における投資法人の全保有運用資産は35件、取得価格総額は2,825億円、総賃貸可能面積は336,375.40㎡(101,753.56坪)となっています。2021年6月期の業績は、営業収益10,567百万円、営業利益4,590百万円、経常利益3,976百万円、当期純利益3,975百万円となりました。

 ジャパンエクセレント投資法人は外部成長の軸足を資産入替から資産規模拡大へ移し、投資規模・エリアのバランスに留意した競争力のある物件取得に取り組んでいます。引き続きスポンサー企業との連携を主軸としつつ、運用会社による物件情報ルートの新規開拓・深耕強化を行い、売却情報の早期入手に努め、取引機会を的確に捕捉していきます。同時に中長期的なポートフォリオ改善を図るべく、築古物件、将来的な競争力低下が懸念される物件につき入替を前提とした売却を検討していく方針です。


LTVも格付けも変化無し
 
 財務戦略は、金利低減を図りつつ、金利の固定化、残存期間の長期化、返済期限の分散化を基本方針とする資金調達を継続することで、安定的かつ健全な財務運営を継続していきます。また、資金調達手段の多様化による調達基盤の維持・強化の観点から、グリーンボンドやサステナビリティローンなどの新しい資金調達手法にも取り組んでいきます。総資産LTVは、60%を上限とし、35%から50%を目処に運用します。また、有利子負債の返済期限を分散することにより、リファイナンスリスクの軽減を図り安定性を重視した財務運営を行っています。
 2021年6月期は、資産規模拡大の一環として、6月にBIZCORE神保町を102億円で取得しましたが、取得資金については、資産効率の向上を企図して、全額手元資金を充当しました。また、6月末には返済期限の到来した長期借入金40億円について、長期借入金(返済期間8.8年、40億円)による借換えを実施しました。これらの結果、当期末における有利子負債平均残存期間は4.4年(対前期末比0.2年短期化)、期末平均有利子負債金利は0.74%(対前期末比0.03ポイント低下)、LTVは42.7%(対前期末比不変)となりました。なお、資金調達の安定化及びリファイナンスリスク軽減を図るべく、従来から継続して借入極度額140億円のコミットメントラインを設定しています。2021年6月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱日本格付研究所(JCR)、長期発行体格付:AA-、格付の見通し:安定的
・㈱ムーディーズ・ジャパン(Moodys)、発行体格付:A3、格付の見通し:安定的