2021年6月期決算のJ-REITの安全性について分析しました。

・有利子負債利子率
20210903J-REIT(6.12月決算)有利子負債利子率
20210903J-REIT(6.12月決算)有利子負債利子率2

 6月・12月決算投資法人も有利子負債利子率の推移は順調に減少しています。こちらと前期同様にコロナやオリンピックなど関係無しで、金融機関のJ-REITに対する姿勢には変更は無いようです。結局、東京オリンピックはJ-REITにもたらす経済的効果は無く、物件は淡々と収益を計上し、レンダーも淡々と融資しているようです。(パラリンピックは今もやっていますが)。全体的にグリーンボンドで投資法人債を使ってサスティナビリティ対応を絡めた資金調達の事例が多くなっているところが全体を通した特徴となっています。日本ビルファンド投資法人は既に第20回目の無担保投資法人債を発行しており1億円の調達を実現しています。反対にマリモ地方創生リート投資法人はまだ投資法人債を発行する状況になっていなく、かつ、格付の取得も行っていません。マリモ地方創生リート投資法人は比較的後発のJ-REITですが、2021年6月期で第10期となりもう約5年運用している訳なのでそろそろ格付取得に踏み切っても良いのではないでしょうか。幸い、レジデンス比率が高めなので安定性の高さを上手くアピールすることが有効だと思います。
 しかし、更に後発のCREロジスティクスファンド投資法人は2020年9月8日にグリーンボンドを発行しています。2021年7月30日にはグリーンローン(グリーンファイナンス・フレームワークに基づき実行される融資)での借入れを行いました。これによりESG投資家を招けているかどうかは未知数ですが、資金調達の多様化はできる時にしておかないとレンダーが一気にJ-REITから引いてしまった場合に「前例が無い」ことを理由にレンダーと交渉できなくなる可能性もあるので今のうちに検討しておくことは悪くはないと思います。
 

・LTV(有利子負債比率)
20210903J-REIT(6.12月決算)LTV
20210903J-REIT(6.12月決算)LTV2

 LTVは有利子負債÷総資産で算出しています。6月・12月決算投資法人はLTVは微増しています。コロナ禍の環境ですが、物件の取得を行ったことや分配金の支払いにより純資産が減少しているとが挙げられます。このブログでは各投資法人の決算の情報を記事にしていますが、1口当たり分配金については出資の払戻しがある場合は「利益超過分配金」として書いていますが、利益積立金を利用した分配金については利益超過分配金としていません。前期以前の利益だとしてもあくまで利益から分配金であるためそういった表現を取っています。
 長くなりましたが、全体的にLTVとしては特に危ない水準になっていないので借入余力はまだ十分にあると考えにれます。インヴィンシブル投資法人はホテルが主力であることや賃料減額を受け入れてしまっているためもうどうすることもできないですね。ホテルの客室稼働率が回復するのを待つかそれても新スポンサー・ソフトバンク様に増資してもらうしか当面は大人しくしていた方が良いでしょう。幸いレンダーはインヴィンシブル投資法人では無くソフトバンク様を見ているようなので借入期限が来たから物件を売却して返済ということにはならないと思います。しかし、レンダーとしてはオペレーターを切ることができない資産運用会社への評価は高く評価しないと考えられます。元々レンダーは融資時に、ホテルは収支が悪くなったらオペレーターを変更して収益の回復が図れると考えていたはずなのでそれが実行できないわけですから。それでも発行体格付A+(ネガティブ)評価と激甘なJCRの格付取得盾に社内的には仕方なく納得しているんでしょうね。