2021年8月13日にカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人の決算が発表されました。分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,700円のところ3,700円で着地しました。
尚、利益超過分配924円が含まれています。

FIP制度の詳細が決まってもFITを利用する現行の発電所への影響は無いと読む
20210829カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人賃貸事業利益

 2021年6月期は、2021年3月8日に公募増資による手取金の一部及び借入金により。CS日出町第二発電所(取得価格:27,851百万円)、CS大河原町発電所(取得価格:2,745百万円)の合計2物件(パネル出力合計60.9MW、取得価格合計30,596百万円)を追加取得した結果、2021年6月期末で25物件(パネル出力合計183.9MW、取得価格合計800億円、発電所評価額合計790.3億円)のポートフォリオとなり、当期末時点において上場インフラファンドでは最大の資産規模となっています。
 運用面においては、九州電力送配電㈱により、1月は1日、2月は5日、3月は12日、4月は21日、5月は15日、6月は3日の合計57日間実施されました。前期に比較して出力制御の回数が大幅に増加した理由は、①2020年3月16日及び5月20日にそれぞれ原子炉の運転を停止し、テロ対策施設「特定重大事故等対処施設」の建設を進めていた川内原子力発電所1号機及び2号機が、それぞれ同年11月19日、12月24日に発電を再開したこと、及び②2020年12月19日から行っていた玄海原子力発電所4号機の定期検査が2021年3月19日に終了し、同年3月19日に発電を再開したこと等によります。これらの結果、2021年6月期の業績は営業収益3,425百万円、営業利益1,459百万円、経常利益1,074百万円、当期純利益1,073百万円となりました。
 決算短信3ページ目の真ん中当たりにFIP制度についての記載があります。「FIP制度の詳細設計における基本的な方針として、FIP制度が再生可能エネルギーの自立化へのステップであることを踏まえ、FIP 制度を構成する各要素について、FIT制度から他電源と共通の環境下で競争するまでの途中経過に位置付けられるように設計されています。但し、投資法人の保有物件ではFIT制度による売電が行われており、この点は令和2年改正再エネ特措法の施行後も変わらないため、投資法人が保有する稼働中の太陽光発電所の買取価格が影響を受ける可能性は低いと考えています」と述べています。カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人としてはFIP制度に代わってもFIPも更に変化していくと考えているのだと思います。太陽光エネルギー発電所建設を嫌う方や地域も多く、メディアには地滑りの原因としてまたは、悪徳業者の不法投棄ネタとして取り上げられることも多い状況です。再生可能エネルギーの普及率向上の動きは遅いため、個人的にはFIP制度以降も何等かの法改正により、再生可能エネルギー発電所の建設・普及を加速していくのではないかという予想は私も同感です。

 
格付けも良好で存在感の高さがレンダーにも伝わる

  資金調達の動きも活発で、エクイティの動きとしては2021年3月5日を払込期日とする181.0億円の公募による新投資口発行及び3月8日を借入実行日とする㈱新生銀行、㈱三井住友銀行及び㈱みずほ銀行をアレンジャー、㈱三菱UFJ銀行及び三井住友信託銀行㈱をコ・アレンジャーとする協調融資団を借入先とする170億円と㈱新生銀行、㈱三井住友銀行及び㈱みずほ銀行を借入先とする23億円の資金の借入れを行い、かかる新投資口発行による調達
資金の一部及び借入れによる調達資金を、上記に取得した太陽光発電設備2物件の取得資金及び関連する諸費用の支払いに充当しました。新投資口発行の残りについては第1回無担保投資法人債(グリーンボンド)の差引手取概算額の一部と合わせて、同年5月31日に、㈱新生銀行をアレンジャー、㈱三菱UFJ銀行をコ・アレンジャーとする協調融資団からの4,249百万円の借入金の期限前弁済に充当しました。また、前述の新投資口発行と同時に決議した第三者割当による新投資口発行を通じて、474百万円を調達しました。なお、当該資金は手元資金とし、将来における資産の新規取得の際の取得資金の一部又は借入金の返済資金の一部に充当する予定です。
 デッドの動きですが、2021年1月26日に発行総額38億円で第1回無担保投資法人債(グリーンボンド)を発行しました。当該投資法人債の差引手取概算額の一部については、同年3月8日に、㈱みずほ銀行からの981百万円の借入金の期限前返済に充当し、同年5月14日に、㈱新生銀行からの623百万円の借入金の期限前返済に充当し、同年5月31日に、 公募増資による調達資金の一部と合わせて、㈱新生銀行をアレンジャー、㈱三菱UFJ銀行をコ・アレンジャーとする協調融資団からの4,249百万円の借入金の期限前弁済に充当しました。2021年6月期中に1,011百万円の約定弁済を行ったことにより、2021年6月期末時点の有利子負債総額は43,376百万円(借入金残高38,476百万円、投資法人債残高4,900百万円)となりました。この結果、LTVは51.5%となりました。2021年6月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱格付投資情報センター(R&I)、長期発行体格付:A-、格付の見通し:安定的
・㈱日本格付研究所(JCR)、長期発行体格付:A、格付の見通し:安定的