米マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツが高級ホテルチェーン「フォーシーズンズ」の運営会社の株式を22億1000万ドル(約2430億円)分追加取得し、経営権を握ることになりました。

 フォーシーズンズの運用会社はフォーシーズンズ・ホテルズ・アンド・リゾーツという会社。ゲイツの資産を管理・運用する投資会社カスケード・インベストメントは、サウジアラビアのアルワリード王子のキングダム・ホールディングが保有する持ち分の半分を取得することに同意したということです。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響からホテル需要が回復する期待が増していることは誰でも解ることかと思いますが、ゲイツもご多望に漏れずそのうちの一人ということですかね。9月8日の発表によると、ゲイツ氏の投資会社カスケード・インベストメントは現金22億ドル(約2430億円)を支払ってフォーシーズンズ・ホテルズ・アンド・リゾーツの持ち分を追加取得し、出資比率を47.5%から71.25%に引き上げるということです。キングダム・ホールディングは23.75%を引き続き保有します。

 サウジアラビアのアルワリード王子という方とは「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」を通じて慈善事業を行うゲイツとアルワリード王子は数十年にわたり親交があります。ゲイツは王子を慈善事業の「重要なパートナー」と呼び、サウジ当局による汚職摘発で王子が拘束された後も支持してきた過去もあります。ブルームバーグによるとフォーシーズンズは121のホテルとリゾート、46の居住用不動産を運営し、開発中のプロジェクトは50を上回ります。

 フォーシーズンズの従前までの株主は、2007年の段階で、ゲイツとアルワリード王子が主導する形で同社の株式を非公開化に同意しました。新たなオーナーらは高級ホテル利用の旅客ブームに乗じて参入する市場を拡大したということが背景にあります。非公開化してしまうと株式市場で資産運用している投資家さんは恩恵に預かることができません。上場企業に課されるディスクロージャーは経営者にとっては必ずしも有効であるとは限りません。ホテルのハード・ソフト両面の構造改革には経営陣の力業になるところもあるので、そこで重箱の隅を突かれ株価が変動してしまうリスクもあります。

 J-REITの場合はフォーシーズンブランドのホテルの運用実績はありませんが、ジャパン・ホテル・リート投資法人や、星野リゾート・リート投資法人を始め高級リゾートのホテルが多数運用されています。これらのホテル系J-REITの復活も近いのかなという希望もあり記事にさせて頂きました。多くの人はゲイツのように資金力はありませんから、高級ホテルに投資することは難しいと思います。J-REITの場合は少額で高級ホテルに投資できるという魅力であると言えます。