2021年9月14日にサムティ・レジデンシャル投資法人の決算が発表されました。分配金は当初の予想一口当たり分配金が2,652円のところ2,735円で着地しました。

コロナを背景に安定性に優れるマンション取得で存在感を高める
20210924サムティ・レジデンシャル投資法人NOI・NCF・ROA利回り

 2021年7月期の外部成長についての取組みにおいては、2021年5月に3物件の不動産等(取得価格合計1,787百万円)を取得し、3物件の不動産等(譲渡価格合計2,087百万円)を譲渡しました。その結果、2021年7月期末における投資法人の保有資産は132物件、取得価格の合計は118,242百万円となり、エリア別投資比率は、取得価格ベースで地方都市比率73.2%(主要地方都市48.2%、その他地方都市25.0%)、首都圏比率26.8%となりました。
 内部成長については、地域の特徴や需要に合わせたリーシング活動ならびに共用部や居室の改修等を進め、快適性、利便性、安全性等のユーザビリティの向上に取り組んでいます。大規模工事の実施にあたっては、サムティグループとの連携を図ることにより、コスト削減を実現しています。調整後賃料単価については、プロパティマネジメント会社と連携し、地域の特徴や需要を踏まえた賃料設定や礼金収受等に取り組んでおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の環境下においても引き続き堅調に推移しています。稼働率については、政府による緊急事態宣言の影響があるものの、2021年7月期の稼働率は昨年と概ね同水準で推移しており、総賃貸可能面積は282,814.60㎡、稼働率は95.7%となっています。2021年7月期の業績は、営業収益4,176百万円、営業利益1,859百万円、経常利益1,516百万円となり、当期純利益は1,515百万円となりました。

 また、サステナビリティに関する取り組みとして、環境(Environment)・社会(Society)・ガバナンス(Governance)に配慮した取り組みを行うことが中長期的な顧客の利益の最大化に資するものであるという認識のもと、GRESBリアルエステイト評価の取得に向けて、資産運用会社において、「サステナビリティ方針」及び「サステナビリティ推進体制規程」を制定し、社内体制の整備等準備を進めています。

 調整後賃料単価というオリジナルのKPIを導入していますが、こちらは「調整後賃料単価={月額賃料収入+(礼金収入÷想定契約期間)}÷契約面積」と面積当たりの賃料収入という形で物件の収益性、投資家さんからの信頼性を高める狙いがあるようです。一昔前でいう坪単価と基本的には同じです。入金時に収入計上される礼金を賃貸借期間で案分することで1ヶ月当たりの賃料収入等を大きく見せることで他の投資法人への優位性をアピールするつもりも考えられます。不動産についてズブの素人だとぱっと見だと騙されかねませんね。
 

安定性のあるレジデンス主体で格付も良好

 2021年7月期の財務の動きは、2021年6月30日付にて、2021年6月30日返済期限の長期借入金(タームローン1-D)2,000百万円及び2021年7月31日返済期限の長期借入金(タームローン7-A)3,200百万円について、㈱三井住友銀行より長期借入金(タームローン16-A)920百万円、㈱福岡銀行、㈱横浜銀行、㈱香川銀行、㈱新生銀行、㈱十八親和銀行及び㈱熊本銀行より長期借入金(タームローン16-B)4,280百万円への借り換えを行いました。この結果、2021年7月期末時点における有利子負債残高は63,435百万円となり、LTVは50.8%となりました。2021年7月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱日本格付研究所(JCR)長期発行体格付:A-、格付の方向性:ポジティブ

 サムティ・レジデンシャル投資法人は、今後も金利の動向や金融機関の融資姿勢等の金融環境を注視し、財務体質の健全性と収益の安定性に配慮した資金調達を行うとともに、サブスポンサーによるスポンサーサポートの活用により、安定的な資金調達体制の維持・拡大に努める方針です。借入金については、機動性を重視した短期借入金と、財務の安定性を企図した長期借入金を効率的に組み合わせ、最適な資金を調達します。また、新投資口の発行については、LTVの上限を60%と定め、物件取得等の資金需要に対応していくようなので引き続きLTV48~50%で推移していくものと考えられます。