2021年9月15日に産業ファンド投資法人の決算が発表されました。分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,178円のところ3,266円で着地しました。

再開発実施による一時的な分配金減少は利益超過分配の実施により平準化
20210927産業ファンド投資法人1口当たりNAV推移

 産業ファンド投資法人の外部成長は強みとするCRE(Corporate Real Estate)提案を切り口とした物件ソーシング活動を継続しています。2021年7月期においては、中長期的に安定したポートフォリオの構築を企図し、継続性、汎用性及び収益性の観点から、IIF広島マニュファクチュアリングセンター(底地)、IIFつくばマニュファクチュアリングセンター(底地)、IIF座間ITソリューションセンターの3物件を譲渡しています。これらの結果、投資法人の2021年7月31日時点の保有資産は、74物件(物流施設46物件、工場・研究開発施設等20物件、インフラ施設8物件)、取得価格の合計は360,919百万円となっております。また、ポートフォリオ全体の稼働率は100.0%となっています。
 テナントに対し価値を提供することにより、長期安定した運用+αとしての内部成長を実現
するため「3C Management Cycle」によるポートフォリオ運用を継続しています。その成果として、IIF厚木ロジスティクスセンターⅢにおいて現行テナントである東京ロジファクトリー株式会社との協業による冷凍冷蔵施設への建替えを計画し、再開発事業を決定いたしました。
 この事業は東京ロジファクトリー㈱との良好なリレーションを活かしながらエンドテナントの拠点新設ニーズを掴み、需要が拡大する冷凍冷蔵倉庫への建替提案を行うことで、物件の収益拡大、長期安定的な契約の継続、資産価値向上の実現が見込まれる取り組みです。また、IIF福岡箱崎ロジスティクスセンターⅠの既存テナント及びIIF福岡箱崎ロジスティクスセンターⅡの総賃貸可能面積の約25%を占める既存テナントとの定期建物賃貸借契約終了を見据えて、マーケット賃料を踏まえた上でテナントと協議を行う中で、IIF福岡箱崎ロジスティクスセンターⅡの倉庫内における労働環境改善というニーズを把握し、そのニーズの解決をした上で賃料増額による新たな定期建物賃貸借契約を締結し、2022年1月期以降の収益向上を実現させることができています。2021年7月期の実績は、営業収益15,349百万円、営業利益7,642百万円、経常利益6,665百万円となり、当期純利益6,663百万円となりました。

「3C anagement Cycle」とは 、

 ①Communicate: テナントとの密接 なコミュニケーションによってニーズを的確に把握 
 ②Customize:個別のニーズに応じてカスタムメイドの提案を戦略的に実施
 ③Create:ニーズの解決という価値を創造すると同時に、長期運用+αという投資主価値を創造する

 という物流施設の運営の考え方です。②CustomizeはBTS型で初めからテナントを見つけてテナントの希望通りに開発するというよりも、マルチテナント型で退去&リーシング時に新規テナントがどのような商品を扱っていたとしてもカスタムしやすい仕様にしておく必要があるので開発するスポンサーのノウハウが一番必要となるとところです。スポンサーと連動して、今後も「3C Management Cycle」の取り組みによるポートフォリオの安定性の維持及び更なる収益性の向上を目指し、建物の機能性・安全性・快適性の維持・向上に必要な管理の実践と必要に応じた適切な修繕の実施、並びに継続的かつ緊密なコミュニケーションを通じた賃借人との関係構築による賃料水準の維持・向上、解約の抑制に努めるとしています。


更なる借入コスト削減に期待

 産業ファンド投資法人の財務戦略は「長期賃貸借契約に裏付けられた長期安定的なキャッシュ・フロー」という本投資法人のポートフォリオの特性を勘案し、「長期固定化」を基本的な負債調達の戦略に位置付けています。そのため、物件の長期安定的なキャッシュ・フローに長期固定借入を組み合わせるALM(Asset Liability Management)を推進しています。
 2021年7月期はデットファイナンスによる資金調達を実施していません。2021年7月期末の有利子負債残高は194,383百万円、うち、長期借入金は184,383百万円(1年内返済予定の長期借入金を含む)、投資法人債は10,000百万円となっています。
 既存借入の借換えを通じて、調達コストの低減、借入期間の長期化、返済額の平準化、返済期日の分散化を推進してまいります。加えて、調達基盤の拡充を目的として、調達先、調達手法の多様化にも引き続き取り組んでいくとしています。2022年7月期以降から高金利の借入金の借換えが続くためより一層の借入コストの削減が見込まれいます。2021年7月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱日本格付研究所(JCR)長期発行体格付:AA、格付の方向性:安定的