2021年9月15日にコンフォリア・レジデンシャル投資法人の決算が発表されました。分配金は当初の予想一口当たり分配金が5,780円のところ5,872円で着地しました。

スポンサーの物件開発に期待
20210928コンフォリア・レジデンシャル投資法人NOI・NCF・ROA推移

 2021年7月期の外部成長は2021年2月にコンフォリア台東根岸他2物件を取得しました。その後、2021年3月にコンフォリア大宮を取得し、コンフォリア新大阪を譲渡しました。その結果、2021年7月期末における投資法人の保有資産は140物件、取得価格の合計は261,534百万円となっています。内部成長は「コンフォリア」シリーズ物件の管理実績が豊富な東急住宅リース㈱を中心にプロパティ・マネジメント業務を委託し、「コンフォリア」シリーズのもと、統一性のある運用を進め、運営の効率化、空室期間の短縮化に努めています。
 コンフォリア・レジデンシャル投資法人が分析する賃貸住宅のマーケット環境は、新型コロナウイルス感染症の再拡大による2度の緊急事態宣言の発出により依然として厳しい状況が継続している中で、需給が弱含んだ状況がみられ、稼働率もやや低下する動きがあるものの、足許は回復傾向がみられていると分析しています。これについては私も同意見で、J-REITの投資口価格の推移に比べ実際の稼働率はやや低めという印象です。普段から稼働率は頻繁に動いていくものですが、各投資法人の決算期ベースでの着地は必ずしも良いという訳ではないんですよね。一方、不動産投資市場においては、政府、日本銀行による財政金融政策を受け、低金利環境が継続する中、国内外投資家の旺盛な物件取得意欲がみられ、取引価格水準は引き続き高値圏で推移しているということなので、より一層スポンサーの開発物件や、資産運用会社独自のソーシング力による物件取得機会の確保が必要になってきそうです。2021年7月期の運用の結果、営業収益10,770百万円、営業利益5,590百万円、経常利益4,995百万円、当期純利益4,950百万円を計上しました。


レジデンスとしてはLTVターゲットが低く安定性は高い

 2021年7期の財務面の動きにおいては、2021年2月にコンフォリア台東根岸他2物件の取得のため投資口の追加発行(5,844百万円)を実施しました。その後、2016年3月に借入れた借入金の返済資金(4,925百万円)及び2020年3月に借入れた借入金の返済資金(2,020百万円)に充てるため、2021年3月に資金の借入れ(6,925百万円)を実施しました。その後、2020年6月に借入れた借入金の返済資金(3,600百万円)及び2014年7月に発行した第1回無担保投資法人債の償還資金(3,000百万円)に充てるため、2021年7月に投資法人債の発行(6,600百万円)を実施しました。
 その結果、2021年7月期末時点における出資総額は129,791百万円、有利子負債は141,630百万円であり、LTVについては、2021年7月期期末時点で50.1%、期末における有利子負債の平均残存年数は4.5年、長期比率は84.7%、固定化比率は95.2%となっています。2021年7月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱日本格付研究所(JCR)長期発行体格付:AA-、格付の方向性:安定的
  
 今後の金利上昇リスク、リファイナンスリスクへの対応を考慮し、財務体質の健全性及び収益の安定性に留意した調達活動を行います。借入金については、機動性を重視した短期資金調達と、長期の安定的な資金調達とを効率的に組み合わせた資金調達を行います。また、新投資口の発行については、LTVの上限を概ね60%程度とした上で、物件取得等の資金需要、投資法人の財務状況に応じて、市場動向及び分配金水準等に留意しながら、検討を行うということです。