2021年9月16日にアドバンス・レジデンス投資法人の決算が発表されました。分配金は当初の予想一口当たり分配金が5,600円のところ5,646円で着地しました。

単身者の退去がコロナ禍で進むのは当たり前
20210927アドバンス・レジデンス投資法人NOI推移

 2021年7月期の外部成長は、2021年6月28日にレジディア京都壬生(取得価格:614百万円)の取得を行いました。レジディア京都壬生は、京都市に所在している全住戸コンパクトタイプ(1DK約30㎡)の賃貸住宅であり、交通利便性に優れており、周辺スーパーマーケットやコンビニエンスストア、飲食店、ドラッグストアなどの生活利便施設も整っており、阪急電鉄線「西院」駅から徒歩9分に位置し、同駅からターミナル駅である「京都」駅まで約13分でアクセス可能と交通利便性に優れています。内部成長は、コロナ禍により、都心の単身者向け住戸を中心に解約が増加したことから、当該住戸を中心に賃料などの募集条件を緩和し、稼働率の下落抑制に努めました。繁忙期の3月においては主に法人の転勤需要を取り込んだことにより稼働率97.0%を達成したものの、4,5月に増加した解約の埋め戻しが難航し、例年よりも稼働率の低下幅が大きくなったため、6,7月は、主に都心の単身者向け住戸の募集条件を緩和することにより稼働率の回復に努めました。その結果、期中平均稼働率は95.9%(前年同期比△0.7pt)となりました。バリューアップ工事を実施した住戸のうち、2021年7月31日までに新たな賃貸借契約が締結された13戸では、前契約賃料に対して、賃料を平均約27.7%引き上げることができ、コロナ禍においても、従前同様、バリューアップ工事が効果的に内部成長に寄与しました。大規模修繕工事は、2021年7月期3件(工事金額税抜175百万円)実施しました。また、バリューアップ工事については、計37件(工事金額税抜168百万円)実施することができました。2021年7月期の業績は、営業収益16,922百万円、営業利益8,102百万円、経常利益7,244百万円、当期純利益7,243百万円を計上しました。
 

レンダーの融資姿勢に変化は無し

 アドバンス・レジデンス投資法人の財務戦略の基本方針は、有利子負債の調達金利の低減と残存年数の長期化、金利の固定化、返済期日の分散化です。2021年7月期は、コロナ禍においても、金融機関の投資法人に対する貸し出し姿勢に変化はなく、総額147億円(平均支払金利0.34%、平均調達年数8.2年)の借入れ等を実施できました。これにより2021年7月期末の平均支払金利は0.66%となり、前期の0.69%から支払金利の低減を実現しました。また、残存年数は4.8年から4.9年に長期化し、財務基盤の一層の強化を図ることができました。
 また、2021年4月30日には㈱三菱UFJ銀行、三井住友信託銀行㈱、㈱みずほ銀行が総額20,000百万円のコミットメントライン契約の更新を行いました。更新後の期間が2024年4月30日に延長されています。
 今後の財務戦略については、金利動向を注視し、金融コストの維持・低下、借入金等の返済期限の分散化に留意しつつ、長期・固定金利の借入金を中心とした資金調達を実施します。これにより、環境の変化に耐えうる財務基盤の構築を図ってくとしています。2021年7月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱日本格付研究所(JCR)長期発行体格付:AA、格付の方向性:安定的
・㈱格付投資情報センター(R&I)長期発行体格付:AA-、格付の方向性:安定的