2021年7月期決算のJ-REITの安全性について分析しました。

・有利子負債利子率
20211004J-REIT1・7月決算有利子負債利子率
20211004J-REIT1・7月決算有利子負債利子率2

 1月・7月決算投資法人も有利子負債利子率の推移は順調に減少しています。5期前から比べると一目瞭然ですがグリーンローンやグリーンボンドでの資金調達が多くなってきているものの、これらの資金調達方法を利用している投資法人が大型物件ほ保有している投資法人が大きいため環境貢献度が高く評価が高いということが言えそうです。ただ、三井不動産ロジスティクスパーク投資法人だけが上昇の一途を辿っています。それでもLTVが33.6%と低い水準にあるため支払利息負担は資産規模の割には低いと言えそうです。
 東急リアル・エステート投資法人はコミットメントラインを利用し借入れを行っていますね。新規で借り入れるよりもコミットメントラインを利用した方が多少は金利が安いという判断なのではないかと思います。資産運用会社的には金消契約を結ぶよりも、コミットメントライン利用申込み方が手間がかからないといういうメリットもあります。
 三井不動産ロジスティクスパーク投資法人も8,000百万円コミットメントライン契約を締結していますが、こらちは守り刀的で現状使用してはいません。それでもレンダーとの関係は良好でJCRからの格付けもAA(安定的)の評価を受けています。イオンリート投資法人の場合は借入金、投資法人債を含めた有利子負債の返済期限の分散がよくできています。また、あおぞら銀行からの残高は無く、新生銀行からの借入れはあるもののレンダーポートフォリオでは12番目。危ない金融機関との距離を保っています。(裏切る可能性の高い金融機関からは借りない、借りても少額にしておくということ)
特に新生銀行は今はSBIからのTOB防衛線の中にいるので通常の業務に影響しています。SBIがTOBの期間を延長したため10月13日を基準日として特定の株主以外を除く株主に新株予約権を無償で配布する作戦は行わないということを発表しています。新生銀行の役員どもはSBIからの交渉でどこまで有利な条件を引き出せるのか、ポストを守れるのかというところを見極めたいのでしょうね。
 

・LTV(有利子負債比率)
20211004J-REIT1・7月決算LTV推移
20211004J-REIT1・7月決算LTV推移2

 LTVは有利子負債÷総資産で算出しています。1月・7月決算投資法人のLTVは物流系J-REITを中心に上昇しています。7月はオリンピックがありましたが、結局ホテル系J-REITはほぼ死に体でしたし、オフィスビルや商業施設が主力の投資法人もメリットを享受できるはずもなくJ-REIT市場においてプラスとはならなかったでしょう。私も数年前までは東京オリンピックでインバウンド需要でホテル系、リテール系は投資口価格も分配金も上がると踏んでいました。私の勤務する会社でも那覇や富士五湖周辺のホテルを検討していました。実際はコロナウイルスの影響で一番安定しているのは物流系J-REITTであるということを投資家さん達も身をもって認知したおかげで物流系J-REITの評価が今も上がっているのでその点は救いですね。

 1月・7月決算投資法人の投資法人はそもそも数が多く物流系J-REITも多いです。財務の違いを少し見ていきたいと思います。

日本ロジスティクスファンド投資法人

 ・物件購入よりも物件再開発にご執心、再開発中もテナントから賃料が取れるのかが焦点
 ・資金調達もグリーンローンやグリーンボンドでの調達の比重を高めESGアピールが凄い
 ・ESGアピールにより建設よりも再開発を一般的に周知することにより投資家さんの資産を使ってビジネスを回していくことが狙いと考えられる。

産業ファンド投資法人

 ・物流施設だけでなく工場や研究施設なんかも買う物流系J-REITの中でも雑食性
 ・ソーシャルボンドでの資金調達を行うなどサスティナビリティ対応への比重が高く資格取得も活発。当然、再開発も行う方針。
 ・再開発中は一時差異等調整引当額と出資金の取り崩しで再開発中の分配金の低下をカバーする作戦で、投資家さんの資産を使ってビジネスを回していくことが狙いと考えられる。

三井不動産ロジロジスティクスファンド投資法人

 ・大型物流施設が主力で首都圏・関西圏以外での物件取得も模索中
 ・返済期限のバランスが取れているレンダーポートフォリオを構築済み
 ・比較的後期の物流系J-REITであり、物件取得での成長がメインと考えられる
 
伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人

 ・大型物流施設が主力だが、スポンサーとの足並みを揃える必要があり資産規模拡大が遅い。
 ・グリーンローンやグリーンボンドをでの調達も行っているが返済期限のバランスは悪い。
 ・競合の上記投資法人に追いつくためか無理にグリーンファイナンスに自身を合わせようとしているところがある。物件取得による資産規模拡大がメインの戦略だがそのスピードは遅いと考えられる。

 日本ロジスティクスファンド投資法人、産業ファンド投資法人は高い確率で物件取得よりも再開発がメインとなってくると思われます。良い立地さえ確保してしまえば上物は永続的に再開発で補修していけば良いというか考え方だと思います。収益性よりも安定性を追加していくので投資家さんにとっての分配金の成長は乏しくなっていくと予想します。

 三井不動産ロジロジスティクスファンド投資法人は数年は物件取得により資産規模拡大を狙っていくと思います。分配金の成長性はこの4銘柄の中では一番高いと言えると思います。日本ロジティクス、産業ファンドよりも好立地の土地を確保できれば間接的にリーシングを妨害することもできます。利益超過分配無しでもこれらと張り合えるようになって欲しいところです。

 伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人は表面的には上手くいっていないように見えます。それは同スポンサーでレジデンス主力のアドバンス・レジデンス投資法人が圧倒的な物件数で成長+安定を実現している姿を既に見せているからです。また、物件開発に関わるスポンサー関連企業のスピード遅いです。担当するメンバーが増えれば増えるほど遅くなります。しかし、言い換えるとそれだけ開発には慎重ということも言えます。