2021年10月13日に野村不動産マスターファンド投資法人の決算が発表されました。分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,288円のところ3,288円で着地しました。

NOIも賃貸事業利益率もそんなに悪くない
20211019野村不動産マスターファンド投資法人賃貸事業利益率推移

 2021年8月期の外部成長の取組みは中に1物件(ユニバーサル・シティウォーク大阪(底地)(追加取得)(取得価格2,139百万円))を取得しました。この結果、2021年8月末日時点において保有する物件は299物件(取得価格合計1,068,409百万円)、東京圏への投資比率は82.8%、総賃貸可能面積は2,106,273.85㎡となり、高度に分散されたポートフォリオ構成となっています。また、運営管理面においては、各アセットにおける新型コロナウイルス感染症拡大に係る影響には違いが見られます。一部の商業系テナントに関して、新型コロナウイルス感染症の再拡大と緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の発出に伴う休業対応等に対する支援として、賃料の減免(280百万円)等を行いましたが、ポートフォリオ全体の収益に対しては限定的な影響にとどまりました。
 また、オフィスセクターや賃貸住宅セクターにおいてはマーケット全体として空室率上昇や募集賃料低下といった動きも見られ、投資法人が保有する物件においても解約数の増加や新規募集期間の長期化等の影響がありましたが、マーケット動向を踏まえた適切かつ柔軟なリーシング活動と、テナントの入替え時や契約更改時の賃料増額による内部成長を通じて安定収益の確保を目指した運用を継続しました。結果として、2021年8月期末のポートフォリオ全体における稼働率は前期末比で0.7ポイント下落し98.1%となりましたが、引き続き高い水準を維持しています。上記の運用の結果として、第12期の業績は、営業収益37,519百万円、営業利益14,741百万円、経常利益12,435百万円、当期純利益12,434百万円となりました。


150棟を超えるレジデンスのおかげで安定性が高い

 2021年8月期の財務の取組みについては、返済期限を迎えた有利子負債28,650百万円のリファイナンスを実施しました。この結果、2021年8月期末時点の有利子負債残高は517,798百万円となり、LTVは43.4%となりました。
 なお、サスティナビリティの取組みについては、2019年2月に、事業を通じて社会的課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献するために投資法人が取り組むべき重要性の高いESG課題(マテリアリティ)を設定し、マテリアリティ毎に設定した方針・目標及び主要指標(KPI)に基づき、低環境負荷物件への投資及び保有物件における環境・省エネルギー対策等の運用を通じたエネルギー利用の効率化に取り組み、低環境負荷ポートフォリオの構築を目指しています。こうした方針の下、保有物件におけるグリーン認証の取得を推進しています。2021年8月期末時点において、DBJ Green Building認証を計83物件、BELS認証を計32物件で取得しており、その結果、投資法人の保有物件におけるDBJ Green Building認証の認証取得割合は66.5%、BELS認証の認証取得割合(注2)は24.7%となりました。また、本投資法人がマテリアリティにおいてKPIとして掲げる「グリーン認証(3★相当以上)70%達成(2030年度迄)」に対する進捗は、当期末時点で56.3%となっています。2021年8月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱格付投資情報センター(R&I)、発行体格付:AA-、格付の見通し:安定的
・㈱日本格付研究所(JCR)、長期発行体格付:AA、格付の見通し:安定的

 前期と比べ稼働率が98.9%→98.1%と減少しているものの、思いの他悪い数値にはなっていません。NOIも5.015%と5%以上を一応キープしている状態です。賃貸事業利益率も前期よりは下がりましたが、57.1%となりここ6期では最低だった2019年8月期よりも実はまだ上にいる状態です。運用物件数は299棟ですが、そのうち約155棟がレジデンスというところでホテルやオフィスの苦戦が目立たないようになっています。ホテルといっても実質2棟しかないので是が火でも処分が必要ということでもないので観光業の回復を待って保有し続けるというのも有りかと思います。