2021年10月14日にヒューリックリート投資法人の決算が発表されました。分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,550円のところ3,550円で着地しました。

物件取得は引き続き継続
20211022ヒューリックリート投資法人賃貸事業利益率推移

 2021年8月期において、2021年3月にヒューリック上野ビル及びヒューリック調布の計2物件(取得価格合計7,440百万円)を取得し、同月にオーキッドスクエア(準共有持分50%)及び品川シーズンテラスの計2物件(譲渡価格8,225百万円)を譲渡しました。その結果、2021年8月期末において投資法人が保有する物件は58物件、取得価格の合計は349,987百万円(百万円未満四捨五入)となりました。また、2021年8月期末におけるポートフォリオ全体の稼働率は99.2%であり、引き続き高い水準を維持しています。上記の運用の結果、営業収益は10,505百万円(前期比6.0%減)、営業利益は5,763百万円(前期比7.5%減)、借入金に係る支払利息等を控除した後の経常利益は5,053百万円(前期比8.4%減)、当期純利益は4,972百万円(前期比8.6%減)となりました。

 ポートフォリオ全体の稼働率は99.2%とオフィス系J-REITの中では抜群に稼働率は高さを誇っています。単体では、虎ノ門ファーストガーデンが78.5%、ヒューリック五反田山手通ビルが85.6%の2物件が突出して低いですが、後は全て90%以上なのでここは大きいですね。流石に賃貸料収入は前期よりも減少していますが、取り戻すことは比較的容易ただと思います。


格付けは何故かポジティブから安定的にダウン

 2021年8月期の資金調達については、特定資産の取得資金の一部への充当に伴い減少した手元資金の補填及び借入金の返済資金に充当するため、2021年4月に一般募集増資及び第三者割当による増資を実施し同年5月に短期借入金3,960百万円の期限前弁済を実施しました。また、同年8月に返済期限が到来した長期借入金7,130百万円について、一部弁済(1,200百万円)を実施し、残り5,930百万円を長期借入金へ借換えました。その結果、2021年8月期末の有利子負債残高は164,616百万円(1年内返済予定の長期借入金17,610百万円、長期借入金132,006百万円、投資法人債15,000百万円)となり、LTVは44.6%となりました。2021年8月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱日本格付研究所(JCR)、長期発行体格付:AA、格付の見通し:安定的


 気になっている方も多いと思われるのが、10月14日に発表したオフィス物件4棟のプレスリリースですよね。銀行店舗物件を主軸とする厳選投資を打ち出していますが、この銀行というテナントが今後どうなっていくかということですよね。確かに賃料の滞納や賃料減額交渉を迫ってくる可能性は少ないと思いますが、支店統合による賃貸借期間満了前に退去という事態が起きないかということの方が懸念材料ですね。

 資産運用会社ではレンダーとの関りというか、絡みが結構あるのでAMの人間が肌間で分かる部分もあると思うのですか、メガバンクや信託銀行の場合は引き続きテナントととして残ってくれると考えているのではないでしょうか。まあ、上記でも述べている通り、これまで高い稼働率を維持しているという実績があるので、支店統合のリスクよりもこれまでの実績を信じて銀行テナント物件を狙っていくという算段のようです。