2021年10月15日に福岡リート投資法人の決算が発表されました。分配金は当初の予想一口当たり分配金が3,500円のところ3,539円で着地しました。

賃料収入は減少だが賃貸事業利益率は向上
20211024福岡リート投資法人賃貸事業利益率推移

 2021年8月期においては、2021年6月1日にキャナルシティ博多・Bグランドビル(グランドビルの共有持分 88.28%)の譲渡及び天神西通りビジネスセンター(底地)の取得を実施し、2021年8月30日には、博多筑紫通りセンタービル取得(2022年3月1日取得予定)についての契約を締結しました。投資法人の、2021年8月期末のポートフォリオ(取得価格ベース)を投資対象エリア別で見ますと、福岡都市圏への投資比率が76.6%となっており、投資タイプ別の投資比率は、商業施設54.2%、オフィスビル31.5%、その他14.3%となっています。

 管理運用面については、オフィスビル、物流施設及び住宅のアセットタイプは堅調な運用実績となる一方で、キャナルシティ博多等の主要商業施設では新型コロナウイルス感染症拡大の影響が収束せず、ホテルでは観光需要等の戻りが弱いことから回復に至らない状況で推移しています。このような運用の結果、当期の営業収益は8,867百万円となり、賃貸事業費用や資産運用報酬等の営業費用を控除した後の営業利益は3,204百万円、経常利益は2,817百万円、当期純利益は2,816百万円となりました。

 サスティナビリティの取組みについては、資産運用会社である㈱福岡リアルティでは、環境・社会・ガバナンス(ESG)への配慮を通じたサステナビリティを推進するため、サステナビリティ方針及びサステナビリティ推進体制要領を定め、サステナビリティ推進委員会(構成委員は、代表取締役社長、常勤の取締役、運用部、投資部、財務部、企画部及びコンプライアンス部の各部長です。)を設置し、社内体制、社外関係者との協働、情報開示方針等について、具体的な目標や施策の検討、施策実行に関する進捗状況の把握を行っています。実務面では、サステナビリティ推進委員会で決定した目標に関する実務的な責任者であるサステナビリティ執行責任者(企画部長)がサステナビリティ推進室長を兼務し、サステナビリティ推進室において、GRESBリアルエステイト評価(Green Star)、責任投資原則(PRI)及び21世紀金融行動原則(PFA21)の継続業務等を行っています。


LTVも41.2%と低めで格付けも変更無し

 2021年8月期の財務の動きについては、期限の到来した既存の借入金の返済資金に充てるため、合計6,300百万円の長期借入を行いました。結果として、当期末における有利子負債残高(投資法人債を含みます。)は82,400百万円となりました。LTVは41.2%、期末固定比率(有利子負債の中で金利固定のものが占める割合です。投資法人債を含みます。)は94.1%となっています。また、株式会社福岡銀行をエージェントとするコミットメントライン契約(極度額:60億円)について、コミットメント期間を1年延長し、コミットメントラインの残存期間を3年にしています。今後も返済期日の分散及び長期化によるリファイナンスリスクの軽減に努めるとともに、借入金利の固定化等で金利上昇リスクの軽減に努めていきます。また、2021年8月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱格付投資情報センター(R&I)、発行体格付:A+、格付の見通し:安定的
・㈱日本格付研究所(JCR)、長期発行体格付:AA-、格付の見通し:安定的

 景気感応度の高い商業施設、今後もリスクとなりうるホテルを控えてオフィスビル、レジデンスの取得で分配金の安定性を高めようという戦略にスイッチしたことでJMFビル広尾01(取得予定価格10,000百万円)、JMFレジデンス学芸大学(取得予定価格1,505百万円)、JMFビル船橋01(取得予定価格5,000百万円)の3棟の取得が既に決定し2022年2月期は分配金の上昇が期待できます。メザニンローン債権への出資も実行し展開が早いことには好感が持てますね。