2021年8月期決算のJ-REITの安全性について分析しました。

・有利子負債利子率
20211102J-REIT(2・8月決算)有利子負債利子率推移
20211102J-REIT(2・8月決算)有利子負債利子率推移2

 2月・8月決算投資法人も有利子負債利子率の推移は順調に減少しています。コロナ禍ということもあり、過度な動きが少なかったということから新規の借入れも少なかったという点と、コロナに関係無くレンダーのJ-REITに対する融資スタンスは引き続き良好だということが言えそうです。SBIグループからのTOBに対抗する気満々の新生銀行ですが、融資よりもスワップ契約で金利の固定化の部分で契約している投資法人が何気に多いので新生銀行と引き続き付き合っていくか、他のレンダーに思い切って切り替えるかスワップ契約を締結中の投資法人は契約を見直すいい機会ではないかと思います。

 タカラレーベン不動産投資法人、サンケイリアルエステート投資法人は8月に行った新規の借入れにより支払利息が増加しています。タカラレーベン不動産投資法人はシンジケートローンを協調融資という表現をしていますが、こちらはほとんど同じ意味なのでシ団ローンと言うことにしますが、こちら、メインバンクは三井住友銀行なのですが、あおぞら銀行、新生銀行の借入れシェアが何気に高いんですよね。反対に三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行はいないという布陣になっています。あおぞら銀行、新生銀行は融資までのスピードだけ早いですからね。借り手が上り調子の時にあまり調子に乗ったことも言ってこないので実務者としてはやりやすかったりします。反対に三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行は融資までのスピードが極端に遅いためシンジケート団を組成する際に足を引っ張るケースが多いです。本当は各資産運用会社は三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行をレンダーポートフォリオに加えたいに決まっています。しかし、その赤い銀行の組織体制は相変わらずです。物件が増えてからレンダーポートフォリオに加えようとすると保有物件全てに新規でデューデリを行おうとする銀行ですから(もちろん赤い銀行様のデューデリ費用は投資法人負担)、結局、資産運用会社としては、三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行抜きのままで進めた方が収益を痛め無くて済むという判断になってしまうのです。
 

・LTV(有利子負債比率)
20211102J-REIT(2・8月決算)LTV推移
20211102J-REIT(2・8月決算)LTV推移2

 LTVは有利子負債÷総資産で算出しています。2月・8月決算投資法人は全て大した変更も無く危険な水準には至っていません。オフィスビルが主力の投資法人のうちOneリート投資法人、タカラレーベン不動産投資法人 、サンケイリアルエステート投資法人といった中小オフィスビルを抱える投資法人はLTVやや高めの傾向にあります。運用期間の長いオフィス系J-REITはLTVの目標を42~43%台に定めそれをコントロールしながら、グリーンローンによる借入れ、グリーンボンドの発行などが財務戦略の流れとなっていますが、この3つの投資法人はまだ財務戦略の運営がしっかり定まっていないようです。

 ヒューリックリート投資法人のように毎期積極的に物件を取得しているため取得原資に充てるための借入金によってどうしてもLTVが平均より高めになってしまう期があるということではなくこの3投資法人は外部成長のスピードも早く無いためそういった言い分も無いと思います。となると、外部成長戦略についてもきちっと決まっているのかも疑わしく感じてしまうんですよね。現状、中小オフィスビルは稼働率が減少傾向にあり、全体的にリーシングにも時間が掛かっていいます。これといった旗艦物件が無いということが原因として考えられるので、物件ポートフォリオを見直した上で外部成長戦略を練り直して、そこに財務戦略も合わせていくというようにしなければならいと思います。開示資料を見ていると資産運用会社の財務部門が運用部の決断の悪さで歩留まりを起こしているように見えます。

 サンケイリアルエステート投資法人は新規に西日本シティ銀行、関西みらい銀行、千葉銀行、あおぞら銀行の4行を招聘しバンクフォーメーションの拡充を図りました。新規レンダーの借入れでかつ、地方銀行から借り入れると金利が多少高くなりますがそれよりも、財務基盤の安定性強化を選んだようです。グローバルインデックスへ組入れられたことにより、格付け取得に向けて動き出しておりこちらの方が財務戦略は上手くいっているように感じます。