2021年11月5日に発表されたスシロー運営している㈱FOOD&LIFECOMPANIESが過去最高益を記録したというニュースが発表されていました。

㈱FOOD&LIFECOMPANIESの連結損益計算書
 
 売上収益:240,804百万円
 売上原価:△110,577百万円
 売上総利益:130,227百万円
 販売費及び一般管理費:△115,668百万円
 その他の収益:11,119百万円
 その他の費用:△2,777百万円
 営業利益:22,901百万円

㈱FOOD&LIFECOMPANIESのセグメント情報
20211109スシローセグメント利益2021年9月期

 国内スシロー事業(売上収益:213,084百万円セグメント利益:25,818百万円)
 海外スシロー事業(売上収益:16,983百万円、セグメント損失:1,208百万円)
 京樽事業(売上収益:9,267百万円、セグメント利益:181百万円)
 その他の事業(売上収益:1,469百万円、セグメント損失:1,198百万円)


 セグメントベースで見ると国内スシロー事業は絶好調ですが、海外スシロー事業、その他事業ではセグメント損失を計上しています。京樽事業(主要ブランド「京樽」・「海鮮三崎港」)についても181百万円と少額ではありますが利益を上げています。圧倒的に国内スシロー事業による収益に支えられた1年であることが分かります。

 国際会計基準(IFRS)を採用しているため大事な部分が非常に上手く隠されている連結損益計算書になっていますが、その他の収益が11,119百万円(前期は619百万円)であることから補助金が大きく貢献しているということが分かります。デリバリーに力を入れたということも嘘ではないと思いますが、営業利益22,901百万円のうち約半分が補助金ということを考えるとコロナ禍による緊急事態宣言で飲食業界は本当に困っていたのか?という気持ちが正直な感想ですね。

 この補助金でウハウハなのはもちろんスシローだけでは無いはずで、投資法人に賃料減額を訴えてきていた各J-REITのテナント群は本当に経営が悪化していたのかと?と疑心暗鬼になりますね。賃料減額の場合はコロナ禍の終息が予測できなかったことから向こう1年~2年のスパンで減額されることが多いようです。しかし、困ったフリをして補助金収入+賃料減額のダブルで得をしていたテナントが多いのではないかと思います。これは資産運用会社で賃料減額稟議を挙げているAM担当者はたまらないですよ。

資産運用会社が採るべき行動

 テナントポートフォリオ戦略として賃料減額に関してより細かい取り決めが必要だと思います。賃料減額期間を1ヶ月更新制にして、月次ベースの損益計算書を入手することが重要だと思います。上場企業であればいざ知らず、未上場の企業の場合、嫌がられる可能性もあります。敬遠されて退去されるというリスクもありすます。しかし、下手に同情的に賃料減額に応じてしまうと収益獲得の機会を失うことになります。もちろん結果として分配金の減少にも繋がります。月次ベースの損益計算書の入手はハードルが高いかもしれませんが、何かしら資産運用会社がモニタリングできる手だてを講じるべきだと思います。

 我々は投資家さんの資金をお預かりしているということを今一度再認識するべきだと思います。