2021年11月17日に星野リゾート・リート投資法人が運用中の天神プライム土地の追加取得を行うことを発表しました。

取得資産の概要
20211127界 霧島
【出典:星野リゾート・リートHPより】

  ①取得資産:界 霧島 
  ②取得価格:3,913百万円 
  ③鑑定評価額:4,020百万円(2021年11月時点)
  ④売買契約締結日:2021年11月10日
  ⑤引渡日:2021年12月1日
  ⑥取得先:㈱霧島ホテルマネジメント
  ⑦取得資金:自己資金
  ⑧支払方法:引渡時全額支払
  ⑨年間固定賃料:97,396,800円
    (ただし、2021年12月1日から2022年4月30日までは年間182,808,000円(年換算)、2022年5月1日から2023年10月31日までは年間202,052,400円、2023年11月1日から2024年10月31日までは年間220,377,600円、2024年11月1日から2025年4月30日までは年間 230,000,400円(年換算))
 ⑩変動賃料:変動賃料は2025年5月1日より以下の基準で発生します。毎月の変動賃料の算定方法は、毎年5月から10月までは、前々年12月から前年11月までの12 か月分の賃料算出GOPを変動賃料算出期間GOPとし、毎年11月から翌年4月までは、前年6月から当年5月までの12か月分の賃料算出GOPを変動賃料算出期間GOPとし、変動賃料算出期間GOPが113,458,800 円を超える部分(ただし、318,987,800円を超える部分を除きます。)について、その81%相当額
 ※変動賃料算出期間GOPが318,987,800 円を超える部分について、その50%相当額


20211127界 別府
【出典:星野リゾート・リートHPより】

  ①取得資産:界 別府
  ②取得価格:7,335百万円 
  ③鑑定評価額:7,650百万円(2021年9月時点)
  ④売買契約締結日:2021年11月10日
  ⑤引渡日:2021年12月1日
  ⑥取得先:花菱ホールディングス㈱
  ⑦取得資金:自己資金
  ⑧支払方法:引渡時全額支払
  ⑨年間固定賃料:176,469,600円
(ただし、2021年12月1日から2022年4月30日までは年間324,638,400円(年換算)2022年5月1日から2022年10月31日までは年間396,780,000円(年換算)、2022年11月1日から2023年10月31日までは年間420,126,000円)
 ⑩変動賃料:変動賃料は2023年11月1日より、毎年5月から10月までは、前々年12月から前年11月までの 12か月分の賃料算出GOPを変動賃料算出期間GOPとし、毎年11月から翌年4月までは、前年6月から当年5月までの12か月分の賃料算出GOPを変動賃料算出期間GOPとし、変動賃料算出期間 GOP が200,919,000円を超える部分(ただし、565,322,700 円を超える部分を除きます。)について、その84%相当額
 ※変動賃料算出期間GOPが565,322,700 円を超える部分について、その50%相当額


20211127TLS5特定目的会社クラスD貸付債権
  ①取得資産:TLS5特定目的会社クラスD貸付債権
  ②取得価格:750百万円 
  ③鑑定評価額:750百万円(2021年9月時点)
  ④売買契約締結日:2021年11月10日
  ⑤取得予定日:2021年12月1日
  ⑥適用利率:予定返済期日までの期間:年率10.50%、予定返済期日の翌日から最終返済期日までの期間:年率11.50%
  ⑦PIK利息:取得予定ローン債権に係るPIK利息の金額=〔利息計算期間の初日における取得予定ローン債権の元本残高〕×〔2.00%〕×〔当該利息計算期間の実日数〕÷365にて算定。
  ⑧利払期日:引渡時全額支払
  ⑨最終返済期日:2024年7月31日


なんでメザニン債権に投資するのか?

 皆さんが気になるのは上記のホテル2棟よりもソーシャルレンディング顔負けの利率を誇るTLS5特定目的会社へのメザニン貸付ではないでしょうか。

 星野リゾート・リート投資法人は、これまで星野リゾートグループと行ってきた協働投資ストラクチャーの活用の新たな一態様として、星野リゾートグループが優先出資をしているホテルWBFグランデ関西エアポートの開発のための特別目的会社であるTLS5特定目的会社に対する劣後ローン債権を本投資法人が星野リゾートグループから取得し、それにより、裏付資産に間接的に投資をすることを決定したと述べています。

 裏付資産と言っていますが、星野リゾートグループが開発(再建)中の(仮称)ホテルWBFグランデ関西エアポートのことを言っています。星野リゾート・リート投資法人はホテルWBFグランデ関西エアポートを開発するための資金を貸付(ローン)という形で支援しようというこころみです。

 (仮称)ホテルWBFグランデ関西エアポートは、南海電気鉄道南海空港線及びJR関西空港線「りんくうタウン」駅より徒歩2分というインバウンド需要は期待できるエリアではあります。ですが、コロナの動向を無視したとしても早期に回収することは難しいと思います。ただ、ソーシャルレンディングと比べて安定的だと言えそうなのは、エクイティに星野リゾートグループ本体が金を突っ込んでいるということ。最終的には星野リゾートグループ本体が責任を取るという姿勢を見せているので星野リゾート・リート投資法人が大やけを負うリスクは低減されていると思います。(もちろん星野リゾートグループ本体飛んだらダメでしょうが。)

 高金利についてはローンをメザニン(劣後ローン)として貸付けるからでシニアローン(優先)よりも返済が劣後するためリスクが高いため金利が高くなります。今回のスキームだと名前は出てきていませんが、メザニンよりも特定社債が更に劣後しているので返済順位は2番手ということになります。

 キャッシュフローベースで利払日に利息を回収できるかは怪しいですが、最終返済期日である2024年7月31日までには満額回収できるのではないかというのが私個人の予想です。


新投資口発行による発行済投資口の総口数の推移

 発行済投資口の総口数:224,965口
 公募による新投資口発に伴う増加投資口数:19,390口
 公募による新投資口発行後の発行済投資口の総口数:244,355口
 第三者割当に伴う増加投資口数:969口
 第三者割当後の発行済投資口の総口数:245,324口

 既に申し込みも終了し価格も決定しているので後は資金が払い込まれるのも待つだけといった状況です。ワクチンの普及率も高まり一時期に比べればまだマシな環境とはいえ観光業は今も厳しい状態です。ホテル系J-REITの中でも真っ先に復活する可能性があるのがこの星野リゾート・リート投資法人なので投資家さんの人気も頷けるところです。


J-REITが不動産の再生を行うということ

 特定目的会社や合同会社を使ってこのようなスキームに投資法人が貸付債権や優先出資を行うような形が不動産の再生に適していると思います。J-REITは不動産の賃料収入等を投資家さんに分配するという金融商品だからです。投資法人が土地を取得し開発を一から行うというのは個人的にはおかしいと感じます。