2021年11月26日にケネディクス・オフィス投資法人が極度ローン基本契約(アンコミットメントベース)の締結について、以下のとおり決定したと発表しました。

設定の理由

 資産の取得及び借入金の返済(投資法人債の償還を含む。)にあたり、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保し、財務基盤をより強固なものとするため。

極度ローン基本契約の内容

 ①借入極度額:5,000百万円
 ②契約締結日:2021年11月26日
 ③契約期間:2021年11月30日から2022年11月30日まで
 ④契約形態:バイラテラル方式の極度ローン契約(アンコミットメントベース)
 ⑤対象金融機関:㈱みずほ銀行
 ⑥担保・保証の有無:無担保・無保証

 金融系の方々は何でもすぐに横文字を使いたがりますが、アンコミットメントベースは単純にコミットメントラインでは無いよということなので借入れ枠を確保しているにすぎません。コミットメントライン契約は借りていなくても契約した時点で金利等の条件も決められており手数流(投資法人は融資関連費用で処理)が発生しますが、枠のみの設定なので借り入れる時に条件が決定します。契約した段階では手数料は発生していないはずです。

 ケネディクス・オフィス投資法人のメインバンクはSMBCなので、別にみずほ銀行と結ばなくてもという気がしますが、今みずほ銀行はトップが飛んだりしているので交渉しやすい相手と踏んだのかもしれません。それともメインバンクのSMBCに対するけん制の1つとして結んだのかは分かりません。いずれにしろ格付がAA-(ポジティブ)の高評価である利用できるものは利用しようとする試みは良い判断ではないでしょうか。

 今回の場合は、極度ローン契約を結んでから速攻で借りてSMBCと福岡銀行への返済に充てているのでSMBCからの借入比率を下げる狙いがあったものと思われます。

 しかし、私はケネディクス・オフィス投資法人は別の狙いがあるのではないかと思います。コミットメントライン契約や極度ローン契約を結ぶ狙いは安全性の確保のためです。安全性が高いので資金については余力があるということを投資家さんにアピールする狙いです。

 もう一つは公募増資での調達資金が足りなかった場合の補填です。私はJ-RIETの投資口価格は定位で推移していると考えています。特にオフィス系J-REITは稼働率が下がりリーシングが苦戦しています。ケネディクス・オフィス投資法人についてはそんなことはありませんが、他のオフィス系投資法人での苦戦が広まると安易に「オフィスREITは危ない」と思われてしまいます。そうなると公募増資で物件取得を考えているのに思ったほど資金が調達できず物件が取得できない。ということを回避する狙いがあります。結果としてそれを助けるのはメインバンクであるSMBCでしょうからSMBCの借入比率が高くなる懸念があるためここで下げておこうというのでないでしょうか。別の言い方をすると複数物件を取得できる弾は用意できていると言えます。
 
 最後にバイラテラル方式のバイテラルは相対という意味なので1対1の契約であることを指しているので特に気にする必要は無いです。