2021年9月期決算のJ-REITの収益性について分析しました。

・NOI利回り
20211201J-REIT(3月・9月決算)NOI利回り推移
20211201J-REIT(3月・9月決算)NOI利回り推移2

 NOI利回りのNOIは賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引き、減価償却費をプラスすることで算出しています。3月・9月決算の投資法人もオフィスビル中心の投資法人はNOI利回が減少しています。ジャパンリアルエステイト投資法人やグローバル・ワン不動産投資法人、森トラスト総合リート投資法人でそれが顕著に表れています。また、物件売却により売却物件分の賃貸事業収入の減少が主な理由です。しかし、コロナ禍であったことやそもそも賃貸借期間期間の終了で解約が出ているオフィスビルは多いようですが、テナント候補等からの問い合わせや内見依頼は緊急事態宣言明けからどこのオフィスビルでも増加傾向にあります。グローバル・ワン不動産投資法人や森トラスト総合リート投資法人は物件数が少ないため1棟ごとの収益に占める割合が大きいのですが、好立地の物件ばかりであるため稼働率は好転してくると思いますが、森トラスト総合リート投資法人は退去&リーシングのタイミングの悪さからNOI利回りは3.524%と4%を割り込んでいます。
 パソナが淡路島に本社機能を移転したことでオフィスの働き方が変わることでオフィスの稼働率が減少することを未だに懸念している方も多いのですが、地方にそれほど魅力的なオフィスビルがあるとも思えないですし、自社で建設するにしてもパソナのような企業でなければ中々難しいと思います。
 レジデンスも少子化でこれから日本人が少なくなっていく中で今の賃料水準を維持できるのは東京23区と一部の地方都市に限られてくると思います。今は地方が住みやすく移住する方もいるようですが、果たしてそれはその方達の老後まで安全に住める地域なのか?というと疑問ですね。


・当期純利益率
20211201J-REIT(3月・9月決算)当期純利益率推移
20211201J-REIT(3月・9月決算)当期純利益率推移2

 3月・9月決算投資法人の当期純利益率はグラフの通りです。ケネディクス商業リート投資法人は前期から約5%上昇しています。前期に売却した代官山アドレス・ディセ(準共有持分30%)分の売却、ウニクス伊奈(準共有持分20%)、阪急オアシス枚方出口店のよる売却益が合計674百万円発生していることが主な上昇理由です。資産の継続的な入替えを行っているということも株式マーケットでは好意的に受け入れられている側面があります。物件の取得も行われたため賃貸事業収入は2021年9月期で7,829百万円で前期より552百万円増加していいます。ジャパンリアルエステイト投資法人は1.174%上昇していますがこちらも大塚東池袋ビルディングを売却したことで得た売却益2,546百万円を計上したことによるものです。これを抜くと賃貸事業収入は前期に比べ▲456百万円が減少しているため44%台前半が本来の水準であると言えます。解約違約金収入は2020年9月期をピークに減少しており、トータルでは稼働率は減少しているものの一部の物件で賃料増額でのリーシングが成功していると言えそうです。シニア物件とレジテンス物件が主力である大和証券リビング投資法人は前期から比べると減少しています。2021年9月期は賃貸事業収入は増加したものの賃貸事業費用も増加していいます。特に営業広告費というリーシングフィーのコストが2020年9月期から大きく上昇しており2021年9月期は2,408百万円のリーシングフィーが発生しています。コロナの影響もあると考えられます。