2021年9月期決算のJ-REITの安全性について分析しました。

・有利子負債利子率
20211202J-REIT(3月・9月決算)有利子負債利子率推移
20211202J-REIT(3月・9月決算)有利子負債利子率推移2

 3月・9月決算投資法人も有利子負債利子率の推移は順調に減少しています。レンダーの動きとしては新生銀行が買収防衛策を国に反対されたことでSBIの傘下になることが決まりした。ソフトバンクと名が付く企業は始めは優遇されたサービスや料金の割引で新規顧客を歓迎しますが、一定人数が集まると縛り上げるということがビジネスモデルなので今後口座開設キャンペーンや新規取引キャンペーンが活発に行われることになると思います。J-REIT・インフラファンドには表立って懸念される事項は特に無いと思います。急に融資を引き揚げるや、リファイナンスを拒否するといったことはないと思いますが、自身がシ団ローンのアレンジャーないしエージェントにしてほしいといった要望はありそうですね。一番楽に金を取れますから。一応、大穴としてソフトバンクグループがインヴィンシブル投資法人のスポンサーとなっているので間接的に融資先の一つとしてインヴィンシブル投資法人のレンダーフォーメーションが変更されてくる可能性があります。
 3月・9月決算投資法人と新生銀行との関係では、ジャパンリアルエステイト投資法人は借入順位16番目と地方銀行の1つとしての扱い。森トラスト総合リート投資法人とグローバル・ワン不動産投資法人にとっては新生銀行は存在すら目に入っておりません。ケネディクス商業リート投資法人
は2021年10月末段階で新規の取引先として新生銀行が加わっています。先にSBIとお近づきになろうとしている腹黒さが見えますね。大和証券リビング投資法人は借入順位4番手となっています。下手するとSBIにいいように操られる可能性がありますね。大和証券リビング投資法人のスポンサーは大和証券ですが、このスポンサーは新しい取り組みを行っては失敗するので足元をすくわれるのは遠い話ではないと思います。


・LTV(有利子負債比率)
20211202J-REIT(3月・9月決算)LTV推移
20211202J-REIT(3月・9月決算)LTV推移2

 LTVは有利子負債÷総資産で算出しています。3月・9月決算投資法人は森トラスト総合リート投資法人のLTVがだんだん緊張感を帯びてきました。オフィス系J-REITでLTVが50%を一瞬でも超えたというのは相当珍しいと思います。理由は物件を売却したことにより総資産額が減少したことなので財務戦略の変化ではありません。他の投資法人は全て大した変更も無く危険な水準には至っていません。森トラスト総合リート投資法人は財務戦略として決算短信の中で金融環境の変化によるマイナスの影響を抑えつつ資金調達コストの低減を図ることを念頭に、借入金額、借入期間及び金利の固定化等について検討し、最適なバランスで調達するよう努めます。また、従前からの金融機関との長期的なリレーションを重視しながらも借入先の多様化や投資法人債の発行も検討します。と述べています。支払利息は投資法人債利息と合わせてて348百万円で前期よりも減少しており、DSCRは18.65%という高い水準を保っており何の問題もありません。今後もこの方針で進めるようなので財務面についてはLTVが高くなっていきているというところだけを除けば懸念点は特にありません。LTVの危険水域は60%と言われています(60%を超えると定期的な期限前弁済を約定させられたり、金利が高くなったりします)のでまだ余力はあるという状況です。宛てにならないとはいえJCRの長期発行体格付けAA(安定的)を維持しています。
 また、大和証券リビング投資法人もじわじわLTVが増加しています。レジデンスは一般的にLTVが47~51%程度を推移するものなのでこちらは平常運転といったLTV推移です。ただ大和証券リビング投資法人は1年~2年ごとに一気に大量の物件を売却し資産入替えをするという戦略を採るのでその際に切り捨てたいレンダーを整理することも可能なので財務戦略においてはあまり心配はしていません。