福岡リート投資法人は2021年12月に統合報告書を開示しています。2021年最後はこの統合報告書について記事にしたいと思います。
統合報告書って?
統合報告書とは、企業の売上や資産など法的に開示が定められた財務情報に加え、CSR(企業統治や社会的責任)、知的財産などの非財務情報をまとめたものです。
海外機関投資家が投資の際、企業の社会的責任を重要視し始めたことを契機に、海外の企業で財務情報と非財務情報をまとめて発行するようになったもので、金融庁と東証が策定したコーポレートガバナンス・コードにおいて、企業側に対し、非財務情報の開示を主体的に取り組むことを促しているため、大企業では年に1回のペース統合報告書を発行しています。強制では無いので開示しなくてもペナルティがある訳ではありません。
福岡リート投資法人はこの統合報告書の中で福岡の経済について分析されています。いくつかご紹介したいと思います。
福岡市による「成長分野及び本社機能」の誘致活動

福岡リート投資法人のお膝元の福岡市は、成長分野及び本社機能の誘致を進めており、企業立地実績は8年連続で年間50社を突破しました。東京一極集中におけるリスク分散やテレワークの進展で、地方都市への拠点開設を検討する企業も増え、コロナ影響下においても企業の進出意欲は衰えていないことから、今後も積極的なPRやインセンティブ等を活用し更なる企業立地及び雇用創出への取り組みが進められています。
本社機能の誘致活動はちょっと行きすぎな気がしますがベンチャー企業に絞ることや支店としての拠点としては福岡市は検討されるエリアであるため市が中心となっての誘致活動は上手くいっているのだと思います。企業だけが移転してもそこで働く従業員が生活できるインフラが整っているエリアと考えると名古屋、仙台、大阪等が中心となってきます。更に大阪よりも西となると福岡市以外で候補となりうるのは広島くらいですから。
政府が世界中から優秀な人材や資金、情報を集め、国際金融都市の確立を目指すことを成長戦略の柱に置いていることを受け、産学官によるオール福岡の推進組織「TEAM FUKUOKA」が2020年9月に設立されました。
国際金融機能の誘致を目指し、国際金融に特化したワンストップサポート窓口「Global Finance Centre」の開設や、「福岡市国際金融アンバサダー」の委嘱等の取り組みを行い、2021年2月に誘致第1号となる香港の資産運用会社「MCPホールディングス・リミテッド」の進出が発表され、7月には日本本社「MCPジャパン・ホールディングス」が設立されています。また、その他複数の企業の進出も決定していると述べています。
森記念財団「日本の都市特性評価2021」の国内138の都市 を対象とした都市力を相対的かつ多角的に分析した調査によれば、福岡市は、経済活力と住みやすさを兼ね備えた九州地方の最大都市として、安定して高い評価を得ています。「生活・居住」分野については全国1位となっており、〈人と環境と都市活力の調和がとれたアジアのリーダー都市づくりの実現〉を目指す福岡市は、バランス型都市として成長が続いています
福岡市の総人口は2020年5月1日現在の推計人口で160万人を超え、1985年以降、一貫して増加し続けています。この総人口は、政令指定都市の中で、横浜市、大阪市、名古屋市、札幌市に次いで5番目に多い都市になります。福岡市の今後の人口増加については、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2035年まで増加傾向にあるものと推計されています
福岡市の人口構成については、他都市と比較して、若年人口の割合が高いという特徴があります。下記図表記載の各都市において、福岡市の若者率(都市の総人口に占める15歳から29歳までの人口の割合をいいます。)は、17.4%で第1位、生産年齢人口比率(都市の総人口に占める15歳から64歳までの人口の割合をいいます。)は、64.8%で第3位となります。
コロナ禍であったことを追風にしつつ人口の流入が上手くいっているのは重要ですね。しかし、これが上手くいっている理由として、街づくりにスポンサーである福岡地所が上手く入り込めているということが大きいと思います。福岡県での建設・不動産業については福岡地所が圧倒的なアドバンテージを持っています。地元を知り尽くしていますし、多数の地元出身の従業員も抱えています。圧倒的地の利があります。そして、他に関わる街づくりに関係者がそれほど多くないという点もあるのではないでしょうか。関わる関係者が少ないほどフレキシブルな行動が採れるという点はコロナで混乱していた時に誘致活動に有効に働いたのではないかと考えられます。
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