2021年11月期決算のJ-REITの収益性について分析しました。

・NOI利回り
20220201J-REIT(5・11月決算)NOI利回り推移
20220201J-REIT(5・11月決算)NOI利回り推移2

 NOI利回りのNOIは賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引き、減価償却費をプラスすることで算出しています。好調だった物流系J-REITのSOSiLA物流リート投資法人のNOI利回りが低下しています。こちらは2021年10月に取得した北港油槽所(底地)のNOIが約2ヶ月しか寄与していないためポートフォリオ全体でのNOI利回りが低下したものです。オペレーターに転貸しているため稼働率は100%となっており、賃料も受領できているようなので問題は無さそうです。一方、日本プロロジスリート投資法人の方はNOI利回りは安定しています。
 オフィスビルが主力のユナイテッド・アーバン投資法人は前期と比べると回復傾向にあるものの、目に見えて低下していますね。オフィスビルが主力と言えど商業施設やレジデンス、ホテル、物流施設も複数運用している投資法人です。ですが、NOI利回りは目に見えて低下しています。ユナイテッド・アーバン投資法人は本来なら「総合型」に属するため多額の資産規模でアセットポートフォリオを構築し安定成長を目指していくのが本来の狙いだったと思いますが目に見えて生成績が悪化しています。もちろん分配金も減少傾向にあります。ユナイテッド・アーバン投資法人の場合はポートフォリオの構築方針に問題があるのではなくて物件選びに問題があるように感じます。減損した府中のオフィスビルも立地とテナント構成が1テナントがあったことが問題なのでここを改善していかないと早期の回復は難しいのではないでしょうか。
 同じオフィスビルが主力の大和証券オフィスは頑張っていますね。元々立地がかなり優れている点であることからテナントが中々退去しないということもあり稼働率に多少のブレは生じているもののリーシング期間も他の投資法人と比べると相対的に短いという特徴があります。ユナイテッド・アーバン投資法人との差は物件取得時のデューデリジェンスにありそうです。
 大江戸温泉リート投資法人は㈱大江戸温泉の株主がローン・スターに代わったりとゴタゴタがありましたが、少なくとも運用しているホテルの固定賃料は確保しているのでNOI利回りは前期と同じ6.8%となっています。
 

・当期純利益率
20220201J-REIT(5・11月決算)当期純利益推移
20220201J-REIT(5・11月決算)当期純利益推移2

 5月・11月決算投資法人の当期純利益率はグラフの通りです。ユナイテッド・アーバン投資法人が減少していますが、こちらは減損損失1,139百万円が計上されたことによるものです。まともに稼働率が0%になることで減損損失が計上されるのはJ-REITとしては初のケースではないかと思います。また、クオーツタワーの売却による売却損10百万円が計上されています。
 面白いのは一般企業と違いこの減損損失が営業費用の項目に計上されているということ、一般企業では減損損失が特別損失に計上されるのですが、J-REITの場合は不動産等の資産運用が事業であり、他の事業と兼業することができません。また、不動産等の資産運用を事業としている訳ですから固定資産の時価の低下に適用される減損損失とは隣り合わせにある訳なので特別ではないよねという監査法人の判断によるものだと考えられます。
 もう一つ目立つのは大江戸温泉リート投資法人ですね。こちらは単純に収益悪化によるもの変動賃料賃料が受け取れるほどの営業収益を上げられていないですから当然に当期純利益率も減少することになります。前期と比べると営業外費用がかさんでしまっているのが気になりますね。金額ベースでは下がっていますが、比率であると上昇しています。2021年8月に借り入れた短期借入金のコストが高めに出ているようですね。金利もありますが、融資関連費用の中に含まれているアップフロントフィーやアレンジャーフィーの金額が高くなっているように感じます。プレスリリースには金利しか開示されていないので断定はできませんがレンダーから低く見られている気がしますね。
 他の投資法人についてはいくつか物件売却も行われていますが、特に大きな売却損が計上されていることもなく物件売買については比較的良好な環境だと言えそうです。