日本格付研究所(JCR)がインヴィンシブル投資法人の格付けを長期発行体格付&見通しをA+ネガティブ→A(安定的)に修正しました。

 インヴィンシブル投資法人は、ソフトバンクグループの Fortress Investment Group LLC をスポンサーに、ホテル及び住居をコアな投資対象とする総合型のJ-REIT。コンソナント・インベストメント・マネジメント(AM)が、本投資法人の資産運用業務を担う。現行ポートフォリオは全128物件(ホテル:86(「シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルの優先出資証券」を含む)、住居:41、その他:1)から成り、取得価格総額4,913億円の資産規模。用途別構成比(取得価格ベース)はホテル:91.7%、住居:7.8%、その他:0.5%。

 JCRは、コロナ禍によりホテル運営環境は依然厳しい状況にあると述べ、保有ホテルからの賃料収入を軸とした投資法人の収益やポートフォリオ・キャッシュフローの低迷により、2021年6月期の NOIは20.9億円(前期比43.5%減)、年換算取得価格ベースのNOI利回りは0.8%(同0.7ポイント減)、最終損益は35.9億円の赤字となった。現状国内ホテルの客室稼働率はエリアによって濃淡があるものの、総じて改善傾向にあることに加え、物件売却益(住居7物件及び商業施設1物件)の寄与もあり、2021年12月期のNOIは37.6億円(前期比80.2%増)、最終損益は5.1億円の黒字となる見通し。ただ新変異株(オミクロン株)による感染の急拡大もあり、ワクチン接種率の向上等によるコロナ禍の収束見通しが遠のく中、収益等について安定性や水準が本格回復に至るにはなお時間を要するものと想定される。
 財務面では、レバレッジが相対的に高い水準でコントロールされているほか、平均債務残存年数が短期化(2022年1月24日現在:1.5年)している。以上を踏まえ、格付を1ノッチ引き下げた。一方、アセットファイナンスの側面では、注目されるホテルポートフォリオのキャッシュフローに底打ちの傾向がみられることから、見通しは安定的と決定しました。

 資産運用会社(AM)は、主力のホテルポートフォリオにおいて中核を占めています、マイステイズ・ホテル・マネジメント(MHM)グループがオペレーターであるホテルの運営維持について、賃料減額等の措置により同グループへのサポートを継続している。投資法人、AM及びMHMをはじめとしたスポンサーグループの協働により、コスト削減を含めホテル収益回復にむけた取り組みが続けられている中、保有ホテルからの固定賃料の確保をはじめ、キャッシュフローの安定性向上や水準引き上げを早期に実現していくことが引き続き課題。当該取り組みの成果や、海外2ホテル(「ウェスティン・グランドケイマン・セブンマイルビーチ・リゾート&スパ」及び「サンシャイン・スイーツ・リゾート」)を含めた運用状況等について注視していくとしています。

 また、簿価LTVは2020年6月期末の51.0%から2021年6月期末では 50.0%と小幅ながら改善しているものの、「シェラトン」のデットを考慮した場合の水準は現状50%台前半と想定される。
 また、物件売却代金を活用した既存借入金の弁済による LTV 水準の引き下げが図られており、財務バッファーとなるポートフォリオの含み益は 21/6 期末で 703 億円(含み益率:15.2%)を有している。金融機関取引ではメガバンク等を中心としたレンダーフォーメーションが維持され、リファイナンスの実績も示されているが、財務健全性の維持・向上にむけては、一段の低減方向での LTV コントロールの進捗や平均債務残存年数の長期化、返済期限の分散化、金利固定化等が引き続きポイントになるという意見を述べています。

 JCRはかなり鈍い人たちなので今更かよ感が漂います。昨年にスポンサー&オペレーターのマイステイズ・ホテル・マネジメントのために賃料減額したところからヤバいと思うべきところなんですけど。きっと「スポンサーの大元はソフトバンクだから大丈夫っしょ」と考えていたというところが正直なところではないでしょうか。

 各レンダーや投資法人債の引受けを検討している金融機関から水面下で問い合わせがあったのではないかと思います。そこでやっとちゃんと評価してみましたということなのではないかと思います。まあ年明けに大江戸温泉のスポンサーがローン・スターに変更になったり、ワクチン3回目の接種が進んでいるとはいえホテルポートフォリオのキャッシュフローに底打ちの傾向がみられるとは激甘ですね。