2021年12月期決算のJ-REITの安全性について分析しました。

・有利子負債利子率
20220305J-REIT(6・12月決算)有利子負債利子率
20220305J-REIT(6・12月決算)有利子負債利子率2

 6月・12月決算投資法人の有利子負債利子率の推移減少傾向が続いています。ジャパン・ホテル・リート投資法人は格付けの方向性がネガティブであるもの有利子負債利子率は従来と同水準なのでレンダーからの評価もまずまずのようです。しかし、融資関連費用は前期と比べて増額傾向にあるので支払利息ではなくシ団ローンでのアレンジャーフィー等の別の費用が加算されていないかが心配ですね。安定性の高いレジデンスの比率を下げたインヴィンシブル投資法人の格付けもA(安定的)を維持しているのでJ-REITを守ろうという何らかの流れがあるようです。レンダーがそれに釣られている限りはまだ安全と言えると思います。
 収益性とは裏腹に有利子負債利子率が減少していないのがマリモ地方創生リート投資法人です。これはスポンサーの㈱マリモのレンダーからの評価がイマイチといった点とレンダーポートフォリオの中の地方銀行の意見が強すぎるということが背景にありそうです。他の投資法人の場合はメガバンク&信託銀行2~3行が中心となり地方銀行達をコントロールしていくものです。マリモ地方創生リート投資法人もSMBCがメインバンクとなっているのですが、
二番目に広島銀行が大きな借入れシェアを占めています。地方銀行は金利の見直し等を含めて貸付先に有利になるようなサービス・提案を基本的に行いません。SMBCも貰える利息が多いに越したことはないのであまり積極的に資産運用会社への提案はしていないようです。シ団ローンを3~4グループに分けて各アレンジャーに競争させるようなバランスにした方が良いのではないかと思います。まあ、それを取り入れた上でもし金利や融資関連費用が下がらないとなったら完全のスポンサーの信用力の低さが露呈してしまうんですけどね。
  

・LTV(有利子負債比率)
20220305J-REIT(6・12月決算)LTV推移
20220305J-REIT(6・12月決算)LTV推移2

 LTVは有利子負債÷総資産で算出しています。LTVは前期と同水準で推移しています。レンダーも物流施設は評価しているようでCREロジスティクスファンド投資法人は有利子負債利子率も低ければLTVも減少しています。そもそも資産規模がまだまだ小さいためLTVはあまり気にする必要は無さそうです。その他各投資法人もLTVは財務戦略で開示しているレンジの範囲内に納まっているため問題無いと思います。
 インヴィンシブル投資法人は運用物件はホテルなのにLTVはレジテンス系J-REITレベルであるため早めに下げる方向で考えた方が良いかと思います。流石に何も考えていないとは言いませんが蔓延防止が明け、仮にコロナを克服したとしてもホテルが回復していくという解りやすい指標が出ない限り公募増資をしても投資口が薄まってしまうことになりかねません。(INVはリーマン時代にかなり薄めてしまいました)なので機動的な動きができるように借入余力を高めておく必要があるのではないでしょうか。運用中のホテルも売れるものは更に売ることやスポンサーのSPCに引き取ってもらう等の展開を考えても良いと思います。最近ではオフィスビルも稼働率の戻りが鈍くなってきているのでレンダーの好みは物流施設のみに集中してしまっているので、日本ビルファンド投資法人や日本プライムリアルティ投資法人はオフィスビルの稼働率UPを、日本リート投資法人は商業施設の稼働率UPに期待したいところですね。