2021年12月期決算のJ-REITのNAV倍率、含み益、稼働率の推移を見ていきます。

・NAV倍率
20220307J-REIT(6・12月決算)NAV倍率推移
20220307J-REIT(6・12月決算)NAV倍率推移2

 2021年12月のJ-REIT市場は、持ち直す動きになりました。新型コロナウイルスの新しい変異株(オミクロン株)に対する懸念や、米連邦準備制度理事会(FRB)によるテーパリング(量的緩和の縮小)のペース加速への警戒などが重しになったものの、オミクロン株は重症化しにくいとの見方などから、買いが優勢になりました。2021年11月の東京都心のオフィス空室率が21か月ぶりに低下したことも買い安心感につながりました。ただ、月半ばにかけては、利益確定売りなどにやや押される動きになりました。12月下旬は、オミクロン株への警戒感が後退していましたが、新型コロナの経口薬やGoToトラベルへの期待などから、底堅い動きが継続する結果となっていました。
 もうロシアのウクライナ進行で株価も投資口価格も全く油断が出来ない状況になってしまいました。個人的には今まで通りで目先の投資口価格に囚われずに成長が見込まれるアセットを運用している投資法人の投資口を買い進めいこうと思っています。ジャパン・ホテル・リート投資法人はもう1年くらいはお休み期間だと考えていますが、好調な物流施設を要するCREロジスティクスファンド投資法人や、分配金が高いフロンティア不動産投資法人、J-REITの運用実績の長い日本ビルファンド投資法人当たりの人気が出そうです。特に日本ビルファンド投資法人、フロンティア不動産投資法人は普段の投資口価格が高いのでこういった市場が混乱しているような時でないと買えないですからね。


・含み益
20220307J-REIT(6・12月決算)含み益推移
20220307J-REIT(6・12月決算)含み益推移2

 含み益は鑑定評価額-帳簿価格で算定しています。NBF御茶ノ水ビルの▲3,273百万円の売却損を計上した日本ビルファンド投資法人ですが、あと1棟、新宿三井ビルディングに含み損が存在します。他には問題がありそうな物件は今のところ見当たらないので新宿三井ビルディングが売却される際は巻き添え売却される物件が発生する可能性があります。とはいえ新宿三井ビルディングは日本ビルファンド投資法人の運用物件の中では一番資産規模が大きい旗艦物件であるため売却される可能性は低いと考えます。
 同じオフィスビルが主力の日本プライムリアルティ投資法人はというと、JPR市ヶ谷ビル(▲427百万円)、南麻布ビル(▲465百万円)、JPR千葉ビル(▲366百万円)、JPR心斎橋ビル(▲502百万円)、JPR武蔵小杉ビル(▲1,618百万円)とぽつぽつ含み損物件があります。そしてほとんどがJPR冠を付けているというのが皮肉ですね。含み損が一番大きいJPR武蔵小杉ビルは日本プライムリアルティ投資法人の中では中規模物件なので売却する可能性もあるので巻き添え売却される物件が発生する可能性は高いと思います。
 物流施設が主力のCREロジスティクスファンド投資法人は含み益しかないですね。はやり今投資口を取得するならは物流系J-REIT一択のようです。商業施設主力のフロンティア不動産投資法人も現状では運用中すべての物件で含み益が生じています。定期的なリニューアル工事等で簿価が一気に高くなる傾向にあるのが商業施設の特徴でもあるのですが、フロンティア不動産投資法人は滅多に物件を買わないし、売らないので含み損を抱えないように資本的支出工事をコントロールしていると感じます。
 

・稼働率
20220307J-REIT(6・12月決算)稼働率推移
20220307J-REIT(6・12月決算)稼働率推移2

 6月・12月投資法人の稼働率ですが、2021年6月期と同様にオフィスビル主力の投資法人はリーシングに引き続き苦戦しているようです。特に日本ビルファンド投資法人、日本プライムリアルティ投資法人、ジャパンエクセレント投資法人が該当しますが、ジャパンエクセレント投資法人は好立地ではありますが、今のテナントと候補達からすると賃料は高いという水準。ジャパンエクセレント投資法人としても物件のブランド価値が毀損しないようにそう簡単にフリーレントは付けません。それに内見の申し込みも絞って対応しているような仕草も見られるので本気度の高いテナント候補を選別していると考えられます。投資家さんにとっては長期的に見ればプラスに働くと思うのでもうしばらくは目を瞑ろうかと思います。
 日本リート投資法人はオフィスビルとレジデンスが主力ですが、オフィスビルについては中規模オフィスビルということが功を奏して稼働率はよく持ち答えているという印象です。ピンポイントに見ると西新宿三晃ビル83.5%、FORECAST品川84.2%、リードシー目黒不動前85.7%、グリーンオーク高輪台が85.8%が特に悪いですが、これはポートフォリオ全体の物件数でカバーしています。賃料が高い物件から移転先を探している企業に上手くアプローチできればよいのですが、業績悪化で移転先を探しているテナント候補は同時に賃料滞納リスクも考えられるます。ここら辺の与信は各投資法人によって違うのですが、好条件で入居意欲の高いテナントが表れるまで現状維持がベースになりそうです。