2022年1月期決算のJ-REITの収益性について分析しました。

・NOI利回り
20220405J-REIT(1.7月決算)NOI利回り推移
20220405J-REIT(1.7月決算)NOI利回り推移2

 NOI利回りのNOIは賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引き、減価償却費をプラスすることで算出しています。産業ファンド投資法人が2.8%にまで下落してしまっていますが、IIF四日市ロジスティクスセンター(既存棟)の竣工により取得価格が増加したことによる影響があります。それよりも大きいのは賃貸事業費用の増加です。物件の売却・取得を継続的に行っており収益の悪いに物件は売却しているようなのですが、運用物件のNOIが前期に比べて減少している傾向があります。具体的にはIIF神戸ロジスティクスセンターのNOIが▲41百万円と1番大きく、売却したIIF品川ITソリューションセンターが▲15百万円と影響が出てきます。産業ファンド投資法人は物流施設の再生を手掛ける旨をいろいろ開示していますが、再生に係る間の収益の減少は他の物件でカバーできるようにしなければならないはずですが、他の運用物件でもNOIが下がっているんですよね。もちろん上昇している物件もありますが・・・。それにしても建物管理費、水道光熱費、固定資産税等、減価償却費の負担が重すぎです。運用物件の再生を行うことで賃料アップを狙っていく方針は日本ロジスティクスファンド投資法人も同様なのですが日本ロジスティクスファンド投資法人の方はNOIは上昇しているのでちゃっかりそのままマネしてしまうのも有りなのではないでしょうか。
 もう1つ、東急リアル・エステート投資法人もNOIが減少傾向にあります。2022年1月期は
4棟の売却を行っており物件の入替えを図っていますし、ポートフォリオ全体の稼働率も97.2%→97.8%に上昇しています。ですがやっぱり賃貸事業収入をもっと伸ばしていく必要がありますね。ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人のように携帯アンテナの附帯収入までも取りに行くというような貪欲さが必要かと思います。


・当期純利益率
20220405J-REIT(1.7月決算)当期純利益率推移
20220405J-REIT(1.7月決算)当期純利益率推移2

 1月・7月決算投資法人の当期純利益率はグラフの通りです。当期純利益率は東急リアル・エステート投資法人は大きく上昇しています。上記のようにNOIは減少しているため単純に物件の売却益による上昇によるものです。同じく日本ロジスティクスファンド投資法人も前期よりも上昇しています。こちらは賃貸事業利益が前期よりも529千円上昇していることが影響しています。伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人も同様ですがこちらは賃貸事業利益が前期より293,659千円上昇しています。

 2022年1月期も物件の売却が積極的に行われており不動産マーケットは引き続き好調であったことが分かります。

東急リアル・エステート投資法人
 湘南モールフィル(底地):売却益664百万円
 代官山フォーラム:売却益91百万円
 世田谷ビジネススクエア:売却益3,374百万円
 OKIシステムセンター(底地)(共有持分割合30%):売却益570百万円

産業ファンド投資法人
 IIF品川ITソリューションセンター:売却益285百万円

アドバンス・レジデンス投資法人
 レジディア代々木:売却益197百万円
 レジディア西新宿:売却益245百万円

ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人
 KDXレジデンス東武練馬:売却益180百万円

 全体的に2022年1月期もコロナ禍であったがためにオフィスビル、レジデンスとも稼働率は渋く、中々リーシングも上手く進んでいないいう状況は継続しています。そんな中でもオペレーターに一括貸しをしているヘルスケア&メディカル投資法人や底地によりテナントの入退去の影響が無いエスコンジャパンリート投資法人の収益は安定していると言えると思います。