2022年4月20日に森トラスト・ホテルリート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が未定としていましたが1,061円で着地しました。

自治体の取り組みと連携した集客で客室稼働率UPは◎
20220501森トラスト・ホテルリート投資法人NOI推移

 2022年2月期は、保有物件について各ホテルの事業環境や運営状況を月毎に把握した上で、収益向上を図るための協議をホテル側と継続的に行いました。雇用調整助成金の特例措置や感染拡大防止協力金等の諸政策を活用しながら運営コストの効率化を推進する一方で、新型コロナウイルス感染症の影響による需要の変化に応じた商品を提供し国内需要の取り込みを図る等、収益向上に努め、当期の賃貸事業収入は、感染症の影響がなかった2020年2月期を引き続き下回っているものの、2021年2月期を上回りました。ヒルトン小田原リゾート&スパでは2021年12月に開始された県内限定の「かながわ県民割」が客室単価・稼働率の向上に寄与、特に年末年始は過去最高の客室単価を記録し、12月の売上総額は2020年同月実績を超え、2019年同月実績にも迫る水準に回復しています。2022年1月下旬のまん延防止等重点措置適用により低調となるも、3月下旬の適用解除と4月上旬からの地域ブロック割「かながわ旅割」の開始により、2月を底に足元では回復傾向にあるということです。国内旅行者というよりも近場をターゲットにしたキャンペーンが上手くハマっているようでオペレーター側での施策に結果が出てきています。
 2022年2月期末において、投資法人が保有する物件は5物件であり、取得価格の合計は107,741百万円、客室数の合計は1,469室となっています。業績は、営業収益1,423百万円、営業利益644百万円、経常利益531百万円、当期純利益530百万円となりました。

 なお、資産運用会社では、資産運用業務における環境に対する配慮、社会への貢献及び組織のガバナンス強化といったサステナビリティ(持続可能性)向上への取り組みが、中長期的な本投資法人の投資主価値向上に必要不可欠であるという認識のもと、「サステナビリティ方針」を制定し、実践しています。2022年2月期は、「E:環境」に関して、保有物件の設備改修による環境パフォーマンス向上の施策を実施、「S:社会」に関しては、ホテルオペレーターにおけるチャリティイベントの実施や地域行事への参加、「G:ガバナンス」に関しては、従業員向けのコンプライアンス研修実施等の取り組みを行いました。また、本投資法人及び本資産運用会社のESGに対する考え方や様々な取り組み等をステークホルダーに対し報告することを目的としたサステナビリティレポートを新たに発行しました。加えて、本資産運用会社は、金融安定理事会(FSB)により設立されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が公表したTCFD提言への賛同を表明しました。


スポンサーからの安定賃料でレンダーからの評価は下がらず

 財務戦略は、国内有数の金融機関と強固かつ安定的な取引関係を構築するとともに、短期借入金と長期借入金のベストミックス、返済期限の分散化、バンクフォーメーションの分散化を図ることで、リファイナンスリスク及び資金調達コストの低減を目指しています。
 2022年2月期においては、返済期限の到来した既存借入金7,500百万円の返済に充当するため、2021年11月に7,500百万円の借入れを行いました。
 この結果、2022年2月期末の有利子負債残高は53,975百万円、うち短期借入金は5,975百万円、長期借入金は48,000百万円(1年内返済予定の長期借入金13,500百万円を含みます。)となっています。なお、LTVは49.3%となっています。
 コロナ禍が継続する環境下、スポンサーからの最低保証賃料スキームの維持や物件(一部)買取を経て、スポンサーサポートに対する金融機関の信頼関係を維持できていることは評価すべきだと思います。投資法人に対してスポンサーがどんな対応をしているか?という点をレンダーはかなり見ていますからね。とは言っても森トラスト・ホテルリート投資法人は手のひら返しするようなレンダーが少ないので、LTVが高くても安定性といった面では他の投資法人より上だと思っています。