2022年2月期決算のJ-REITの安全性について分析しました。

・有利子負債利子率
20220503J-REIT(2月・8月決算)有利子負債利子率推移
20220503J-REIT(2月・8月決算)有利子負債利子率推移2

 2月・8月決算投資法人も有利子負債利子率の減少は続いています。気になるのは2022年4月28日にメガバンク3行が、住宅ローン金利の指標となる10年固定の基準金利を5月から引き上げると発表した件。2013年~14年以来、約8年ぶりの高水準となり、固定金利に影響を与える日本の長期金利が上がっています。米国での長期金利の上昇が、日本の住宅ローン金利引き上げにつながっています。金融機関は少しでも金利を取ろうと必死なのでこれがJ-REITにも間接的に影響が出そうです。
 毎度のことですが、サスティナビリティと絡めたグリーンボンド債やグリーンローンで借りても金利はほとんど変わらないんですよね。返ってレンダーのモニタリングのためにCO2の排出力や、エネルギーの削減量といった数値の資料の作成のために資産運用会社の社員の工数がかかるので反対に資産運用報酬が上がるだけなのでは?と思っています。レンダーから要求される金利の動向が不透明ですが、J-REIT界隈では固定金利でできるだけ長い借入金期間で借り入れるのが現状なのでしばらくは金利によるダメージを受ける影響は低いと思います。日本アコモデーションファンド投資法人や大和ハウスリート投資法人等の安定性の高い投資法人のスプレッドはこれ以上下げるのは難しいのではないでしょうか。まだ、サンケイリアルエステート投資法人や森トラスト・ホテルリート投資法人は比較的運用期間が短いので改善の可能性はありますが、森トラスト・ホテルリート投資法人は物件の収益力をIUPさせる必要があるので難しいですね。
  

・LTV(有利子負債比率)
20220503J-REIT(2月・8月決算)LTV推移
20220503J-REIT(2月・8月決算)LTV推移2

 LTVは有利子負債÷総資産で算出しています。LTVは前期と同水準で推移しています。レンダーも一緒になりサスティナビリティと絡めた資金調達が活発化していますが、2022年2月期もその傾向は続いています。特に物流系J-REITは財務面でも存在感を発揮しています。三菱地所物流リート投資法人はグリーンローン・グリーンボンド債の発行により2022年4月現在でグリーンローン70億円、グリーンボンド20億円を調達しています。また、農林中央金庫からサステナビリティ・リンク・ローンを調達しました。2030年度に向けたKPIと目標を含む達成状況を定められたモニタリングのタイミングで都度評価し、その達成状況に応じ、スプレッドインセンティブを付与される契約条件となっており、指定されたKPIの達成状況に応じてスプレッドが決まります。サスティナビリティに力を入れるほど、スプレッドが下がるので支払利息が減少していくことになります。三菱地所物流リート投資法人はエクイティでの調達についてもグリーンエクイティ・オファリングで約220億円を調達しているのでこの取り組みは、オフィスビルやレジデンスの取得でも利用されることになってくると思います。ラサールロジポート投資法人もグリーンボンド債で20億円の調達を行っています。また、ラサールロジポート投資法人の場合はJCRの覚えもめでたく格上げもされています。
 サンケイリアルエステートは平均残存期間の伸長とバンクフォーメーションの拡充により財務基盤の維持向上を図っています。LTVは平均的なレベルなので特に問題がある状況ではありません。