2022年6月14日にいちごオフィスリート投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が2,072円のところ2,508円で着地しました。

九州地方のポートフォリオを強化する狙いか?
20220627いちごオフィスリート投資法人NOI推移

 2022年4月期の外部成長は2022年2月18日にいちご赤坂五丁目ビルを1,720百万円で譲渡しました。譲渡先より想定帳簿価格の2.3倍、直近の鑑定評価額の1.9倍の価格提示があり、売却に係る検討を行った結果、設備更新等に伴うCAPEX工事の増加、ならびに賃料水準の見通しを踏まえた収益性等を勘案し、譲渡を決定したものです。
 また、2022年1月28日に合同会社絆1への匿名組合出資を行っています。合同会社絆1はスポンサーのSPCで、いちご博多駅東ビル、いちご博多明治通りビル、福岡建設会館、櫻岳ビルと3棟のオフィスビルを保有しています。
 内部成長については、ポートフォリオ全体のNOI向上を重視し、賃料水準、稼働率等も考慮の上、個別物件の収益力に繋がる各種施策を継続して推進しています。2022年4月期においては、いちご九段二丁目ビルの1棟貸しの解約等もあり、2022年4月期末稼働率は94.7%となりました。既存物件については、サステナブルな社会の実現、脱炭素社会への移行を目的となる国際的イニシアティブ「RE100」の趣旨に鑑み、期中に保有物件の共有・区分を除いた部分について、消費電力の再生可能エネルギーへの切り替えを完了し、LED化等の省エネ施策も順調に進めています。上記の運用の結果、2022年4月期の業績は、営業収益8,675百万円、営業利益4,436百万円、経常利益3,691百万円、当期純利益3,690百万円となりました。


都心の物件を買えないから地方を買うのでは?

 財務戦略としては、既存借入金のリファイナンスについては借入金利の固定化、借入期間の長期化・分散化を図り、不安定な社会情勢による金利上昇を踏まえた資金調達を検討しています。2022年4月期の取り組みは、2021年11月、2022年1月に返済期限の到来する借入金(合計9,629百万円)の返済資金として、それぞれ同月に既存取引銀行からの借入れ(合計9,621百万円)を行いました。2022年4月期においても安定的な財務基盤構築のため、返済期限の分散化並びに金利動向を注視した調達を行っていまりました。
 投資環境についていちごオフィスリート投資法人は「利回りの低下により東京都内での投資機会が限らており、今後は企業のオフィスへの考え方や働き方の変化も受け、地方都市への投資にも関心が高まることが予想される」と述べています。これは結構表現のマジックなところがあるんですよね。都内のオフィスの需要が下がったからといって地方のオフィスの需要が高まるとは限らないということです。リモートワークが勧んでもあくまでも働いている個人が家族単位で地方に移住することはあっても会社の本社機能が地方オフィスビルに移る考え辛いと思います。(もちろん無いとは断言しませんが) 
 何が言いたいかというといちごオフィスリート投資法人が投資対象としている中小規模のオフィスビルは各投資法法人と被っています。高い確率で他の投資法人や不動産会社に取得価格の面で競り負けているのではないかと思います。そのため、「オフィス環境の変化で地方のオフィスが魅力」的なアピールをしていくのではないかと考えています。