2022年4月期決算のJ-REITの安全性について分析しました。

・有利子負債利子率
20220629J-REIT(4・10月決算)有利子負債利子率推移
20220629J-REIT(4・10月決算)有利子負債利子率推移2

 投資法人みらいはローンの本数が比較的少なく金利の長期固定化策はこのまま進む方針のようなです。また当面のリファイナンスは限定的ということで金利上昇リスクは相対的に他の投資法人よりも少なそうです。トーセイ・リート投資法人は金利固定化率は100%となっています。でもヘッジ等をかけていないためか若干金利は高めです。2021年12月に調達した借入金は期間5.5年と6年で金利はそれぞれ0.82812%と0.93753%となっています。NTT都市開発リート投資法人が2022年4月に行った借入れは期間7年で0.785%です。この金利の決定はスプレッドも含まれているので調達した金融機関との関係性・信頼性の影響もあります。金利スワップといった小手先の技は使いたくないという意思は分かる気もします。
 財務戦略としては余剰資金は借入金の返済に充当or物件取得資金に回すというのがセオリーでしたが、2022年6月から株価の下落が続いているので自己投資口の取得を選択する投資法人が増えてきています。投資口が多くパッと見の分配金が少なく見えてしまう投資法人(インヴィンシブル投資法人のような)にとっては発行済投資口数を減らす絶好の機会なのですが、そんなことしようものなら出資の払い戻しで分配金として返せと言われかねないためか、音沙汰は無いようです。
 4月・10月決算投資法人だとケネディクス・オフィス投資法人、いちごオフィスリート投資法人、積水ハウス・リート投資法人がこの自己投資口取得の動きを打ち出しています。


・LTV(有利子負債比率)
20220629J-REIT(4・10月決算)LTV推移
20220629J-REIT(4・10月決算)LTV推移2

 LTVは有利子負債÷総資産で算出しています。積水ハウス・リート投資法人ではのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)という新たなローンでの借入れにより資金調達を行っています。目標KPIが、• 2030年度までに、ポートフォリオのCO₂排出原単位を2018年度比50%削減• 2023年度までに、ポートフォリオのエネルギー消費原単位を2018年度比5%• 2022年度内にポートフォリオのグリーン認証取得割合70%以上達成• ポートフォリオの廃棄物排出原単位について2018年度の水準より増加させない• ポートフォリオの水使用原単位について2018年度の水準より増加させないといったKPIを守らなければ金利に跳ね返ってくる融資なのですが、レジデンスが多い積水ハウス・リート投資法人が導入したことが面白いですね。レジデンスのなのでオフィスビルや商業施設ほどCO₂排出単位を落とすといったことによる効果が薄いのですが、あまり取り組まないレジデンスのサスティナビリティの取り組みで存在感を示すことに繋がれば投資口価格の上昇が期待できます。
 今後、収益の向上が期待できる星野リゾート・リート投資法人ですがLTVは35.5%とかなり低め、2022年7月1日に星のや沖縄(取得価格12,210百万円)を取得予定となっています。借入金として6,200百万円、差額は公募増資での調達となりますが、この借入金もメガバンクと日本政策投資銀行から期日一括返済での調達ということでレンダーからの評価は高いと言えると思います。若干LTVは上昇することになりますが2022年10月期までで考えても40%を超える可能性は低いと考えられます。