2022年6月17日に平和不動産リート投資法人が取得している格付について1ノッチ格上げになったことを発表しました。レジデンスとオフィスビルが主力ではありますがどうも見落とされがちな

長期発行体格付:A+→AA-
格付の見通し:ポジティブ→安定的
債券格付:A+→AA-

 平和不動産リート投資法人は、平和不動産をスポンサーとする複合型のJ-REIT。平和不動産アセットマネジメントが資産運用業務を担う。現行ポートフォリオは計120物件(オフィス40物件、レジデンス80物件)で構成され、取得価格総額2,133億円の資産規模。東京都区部を中心としたオフィス及びレジデンスへの投資を実践しており、相対的に高い分散度が維持されています。

 2021年11月期以降も、スポンサーパイプラインを活用した新規物件取得や資産入れ替えが続けられています。2022年6月の「心斎橋フロントビル」を含む計6物件(オフィス 4物件、レジデンス2物件)、175億円の取得は、2年連続となる公募増資を絡めたものとなった。引き続き、本投資法人の取得時の目線を堅持した形で外部成長が進展していくかフォローしていくとしています。内部成長では、オフィスの賃料ギャップ(2022年 12月時点:▲5.51%)縮小等による収益のアップサイドの取り込み、CAPEX等を活用した保有物件の経年対応(2021年11月期末のポートフォリオの平均築年数:20.8年)などに引き続き注目。
 レバレッジについては、2021年11月期末で資産総額ベースの簿価LTVが44.7%、鑑定 LTVが39.0%、上述の公募増資を絡めた一連の取り組み後でそれぞれ44.8%、39.3%の見込みと、安定的にコントロールされています。財務バッファーとなるポートフォリオの含み益は、2021年11月期末で455億円(含み益率 24.3%)を有する。三井住友銀行をコアとしたメガバンク主体のレンダーフォーメーションの維持、新規取引行の参画、コミットメントライン(限度額70億円)の設定による流動性の担保、平均残存年数の長期化(2021年11月期末で3.97年)、返済期限の分散化などの実績も示されており、資金調達面で特段の懸念はみられない。

 JCRではポートフォリオ・キャッシュフローの安定性が向上していると評価しています。公募増資を絡めた、継続的なポートフォリオの質の改善や規模拡大に向けた取り組みを通じ、資産規模は 21/11 期末比 1 割程度拡大(取得価格ベース)し、テナント等の分散も図られた。スポンサーとの協業をベースとした賃貸事業運営に関して、2021年11月期で5.27%のNOI利回り(簿価ベース)、2022年4月末で97.5%の稼働率等のトラックレコードを確認でき、コロナ禍の影響は限定的とみているようです。今後も、分散の効いたポートフォリオについて、スポンサーサポートも活用したマネジメントが着実に進められていくものとJCRでは想定。財務面ではレバレッジコントロールの状況などからみて、健全な運営が継続されていると判断し、格付を1ノッチ引き上げ、見通しが安定的となりました。