2022年6月27日にザイマックス・リート投資法人がちゃんとした格付機関である格付資情報センター(R&I)から格付評価を取得したと発表しました。

発行体格付:A-
格付け方向性:安定的

 ザイマックス・リート投資法人は、2018年に上場した総合型の不動産投資法人。オフィス、商業施設、ホテルを主たる投資対象とする。スポンサーは不動産マネジメント会社のザイマックス。
 格付には、不動産マネジメント事業で豊富な実績を有するスポンサーのサポート、都心の中規模オフィス、生活密着型商業施設を中心とする安定感のあるポートフォリオ、現時点における保守的なレバレッジと良好な含み益水準などを反映されています。

 R&Iでは、保有物件の用途比率はオフィス58.3%、商業施設29.5%、ホテル10.1%などとなっている。オフィスは主に東京23区にある交通アクセスに優れた中規模物件で構成され、2022年4月時点の稼働率は99.5%と非常に高い水準にある。商業施設は豊富な商圏人口を有した地域に密着した物件であり、コロナの影響は限定的で、堅調に推移している。ホテルは仙台の1物件のみで、コロナの影響はあったものの、2021年9月から固定賃料が復活した。
 資産規模が小さいため、今後外部成長によりポートフォリオの分散を着実に進めていくことが重要となろう。ザイマックスグループはプロパティ・マネジメントの受託等を通じて多数の不動産オーナーとリレーションを有しており、不動産売却・仲介実績も豊富で、ザイマックス・リートはこうしたスポンサーのネットワークを活用して外部成長を図る方針。
 ESGに関しては、保有物件の空調設備更新やLED照明の導入を進め、省エネルギー化に取り組むとともに、オフィス8物件について再生可能エネルギー100%電力への切り替えが完了している。環境認証の取得率は40.6%(延床面積ベース)となっている。
 総資産有利子負債比率は2022年3月時点で41.0%と良好な水準。保有物件の含み益は簿価の24.5%と後発のREITとしては大きく、鑑定ベースの負債比率は非常に低い。資金調達についてはみずほ銀行を主力とした大手金融機関から成る安定したバンクフォーメーションを構築している。ただし、負債のデュレーションは十分でなく、さらに長期化を進めていくことが望ましいとしています。

 好立地の中規模オフィスや生活密着型商業施設を中心に安定性のあるポートフォリオを構築し、高い稼働率を維持している。不動産マネジメントで豊富な実績を有するスポンサーのサポートは安定運用に寄与しよう。後発のREITとしては負債比率が低く、含み益が大きいことも評価できる。一方、資産規模が小さいことが課題であり、スポンサーのネットワークを活用した物件取得が進み、ポートフォリオの分散が改善していくか注目していくということです。

 資産規模拡大は追々取り組んでいくと思うのであまり気になる要素ではありません。むしろ当初いきなり資産規模を拡大し、その後たいした物件しか取得しない、もしくは取得が滞っている投資法人もあります。個人的にはザイマックス・リート投資法人は割と取得に際して慎重な姿勢を採っていると見ています。慎重な姿勢を採れるということはスポンサーからの物件取得圧力が小さいことを意味しているので資産運用会社独自で施策を実行できることから投資法人全体の価値は上がると思います。投資法人の投資法人債を引き受ける金融機関からしてみるとスポンサーとの関わりが少ない(やる気がない)と見られ格付けが思うように伸びないのだと思います。ザイマックス・リート投資法人には格付は気にせず運用を続けて頂きたいですね。