都市未来総合研究所が2022年8月の不動産マーケットレポートについて開示されておりましたのでご紹介します。


オフィスビルからレジデンスへのコンバージョン

 都市未来総合研究所によると、テレワークを恒常的な制度とし、利用度が低下した都心部のオフィスについて移転や部分返却などを行って縮小する動きが大企業にも広がっているとしています。オフィス需要の総量減少に繋がる可能性があり、また2023年と2025年には大型ビルの大量供給が予定されていることから、市場で劣後する立地や仕様の物件は、オフィスビルとしての競争力が更に低下する懸念があります。比較的競争力があるJ-REITの物件の中でも、同じ地区内のオフィスビルの賃料が賃貸マンションの家賃を下回ったケースがあり、こうした事業環境や属性のオフィスビルでは、住宅へのコンバージョン(用途転換)が賃貸経営の改善のための選択肢の一つになるとしています。

コロナ禍を境に東京都心5区のオフィス市況が軟化
20220821都市未来総合研究所が2022年8月

 東京都心部のオフィス市況は、景気が回復する一方で新築ビルの竣工量が少なかったことなどが寄与して、 2015年頃から平均空室率の低下と平均募集賃料の上昇が続き好況となりました。その後は、新型コロナウイルスの感染が拡大し緊急事 態宣言が発出された2020年4月から7月頃にかけて、景気の先行き不透明感からオフィスの増床を控える企業や、テレワークを導入して縮小移転や部分返却などでオフィスの省スペース化を図る企業などが現われて平均空室
率が上昇。程なく平均募集賃料が低下に転じて現在に至っています。最近では大企業でもテレワークの恒常化を公表する会社が増え、今後オフィス需要が縮小する可能性が指摘されています。2023年にビル大量供給。市況圧迫のおそれ新規ビル供給について、2023年は東京都心5区で200万㎡に上る面積の大型ビルの竣工が予定されています。需要増加が見込みにくい状況下でオフィス供給が集中するため、テナント獲得の競合が強まり、立地や築年数、ビルの設備仕様などが相対的に劣る物件で稼働状況が悪化する懸念があるとしています。

【出典:都市未来総合研究所・不動産マーケットレポート2022年8月】

オフィスビルからレジデンスへのコンバージョン

 オフィス賃料がマンション家賃を下回る逆転現象が発生。コンバージョンが選択肢に  中央区の同じ地区にある賃貸オフィスビルと賃貸マン  ションで、オフィス賃料が低下してマンションの家賃単価を下回った事例や、5 年間にわたり家賃単価を上回った時期がないオフィスビルの事例などがあり、オフィス賃料とマンション家賃の逆転が起きています。こうした立地環境や物件属性のオフィスビルでは、住宅へのコンバージョンが賃貸経営の選択肢の一つとなると考えられるとしています。

 →例として挙げているるのが日本橋人形町なぜか日本橋エリアなんですよね。日本橋ってオフィスビルのリーシングや仲介を経験した人ならわかると思いますが、オフィスビルとしての需要がもともと無いエリアですよね。有楽町や新橋、銀座等でこのような事例が発生したら問題かと思いますが、日本橋のデータでコンバージョンを考えるのは時期尚早な気がします。
 後、触れていませんが、マンションやアパートにしてもレジデンスにすると外国人の入居者も多くなります。日本人だけで稼働率100%は年々難易度が高くなっています。正直に言いますが外国人が入居すると問題を起こすリスクはかなり高いです。その対応による人件費だけでなく、賃料の滞納リスクもオフィステナントよりも当然高くなるのでそこも説明して欲しかった手ですね。