2022年6月期決算のJ-REITの収益性について分析しました。
・NOI利回り
NOI利回りのNOIは賃貸事業収入から賃貸事業費用を差し引き、減価償却費をプラスすることで算出しています。日本ビルファンド投資法人はオフィスビルマーケットについて、空室率の上昇に一服感は見られるものの、今後の東京都心部を中心とした大量供給には注意を払いつつも、ハイスペックオフィスに対するテナントニーズは継続すると見ているようです。また、電力及び資材の高騰・円安によるコスト増による影響も懸念しています。大型テナントの退去は一巡し、当面は巡航稼働率97%台での運用を目標としています。日本プライムリアルティ投資法人もだいたい同様の考え方をしています。ただ、テナント入替により占有率1%以上の大型テナント数が減ったことでテナントのポートフォリオ分散は上手く図れているようです。ジャパンエクセレント投資法人ではオミクロン株の影響によるリーシング活動の立ち上がりの遅れ、大口テナントとの契約の期ずれによって稼働率が予想をしたまわっており、前期に引き続きリーシングには苦戦しています。館内増床に係る既存床賃料の調整等による、賃料改定交渉には取り組んではいるようです。各物件のリーシング計画も決算説明会資料に記載しており取り組みをアピールしています。具体的には、武蔵小杉タワープレイスは略計画通りに埋戻しが進捗しています。興和川崎西口ビルは候補テナントの入居が後ずれしたこと等を理由に計画を見しましたが2023年6月までの目標稼働率が80%と弱気なのが気になりますね。
日本リート投資法人では既存テナントとのリレーション強化によりテナントニーズや物件毎の特性を踏まえた物件競争力の向上に繋がる施策を実施しました。こうした取組みにより、当期末現在のポートフォリオの稼働率は98.0%となっており、フロンティア不動産投資法人では、NOI自体は前期と比べれば減少しているものの、イオンモールナゴヤドーム前、上池台東急ストアでは賃料の増額に成功しています。商業施設では競争力維持・強化に資する追加投資に成功しているようです。
・当期純利益率
6月・12月決算投資法人の当期純利益率はグラフの通りです。各投資法人とも競争力の高い物件への入替えが進んでいるという印象です。また目立ちにくところですが、フロンティア不動産投資法人をはじめ賃料増額と引換えに賃貸借契約期間の延長を長くし、賃貸借契約を更新する場合も見受けられ収益性よりも安定性を選択している投資法人も多くなってきているようです。コスト削減も一巡したため取れる手立てが少なくなってきているので少しでも競争力の高い物件(駅近でビジネスエリアに近い等)への入替えに積極的な投資法人が多くなってきていることも頷けます。2022年6月期決算投資法人のうち売却物件は以下の通りです。
日本ビルファンド投資法人
サンマリオンNBFタワー・・・売却益6,988百万円
日本プライムリアルティ投資法人
JPR梅田ロフトビル(準共有持分30%)・・・売却益1,338百万円
ジャパンエクセレント投資法人
興和白金台ビル・・・売却益797百万円
日本リート投資法人
サンワールドビル・・・売却益125百万円
マリモ地方創生リート投資法人
アルティザ博多駅南(準共有持分50%)・・・売却益112百万円
インヴィンシブル投資法人
レーベスト本陣、レーベスト松原、アルバ則武新町、レーベスト名駅南、ルナコート江戸堀及びリトルリバー本町橋・・・売却益,468百万円
となっています。いずれも売却益を発生計上しての売却なので2022年6月期も不動産マーケットは大きな動きはないようです。まあまとめて開示することでごまかしいるインヴィンシブル投資法人の物件群については売却損を生じている物件はあるとは思います。本陣、本町橋あたりは怪しいですね~。
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