2022年6月期決算のJ-REITのNAV倍率、含み益、稼働率の推移を見ていきます。

・NAV倍率
20220907J-REIT(6・12月決算)NAV倍率
20220907J-REIT(6・12月決算)NAV倍率2

 6月前半のJ-REIT市場は、月半ばにかけて大きく値を崩す動きになりました。円安・ドル高の進行などから国内株が上昇したことを受け、続伸して始まりました。その後も、投資家心理が改善する中、GoToトラベル再開への期待も手伝い、東証REIT指数は9日には約5か月ぶりの高値まで上昇しました。ただ、その後は欧州中央銀行(ECB)が金融引締めに舵を切ったことや、米消費者物価指数が上振れし、米利上げが加速するとの警戒から、投資家のリスク回避姿勢が強まり、東証REIT指数は1,900ポイントを割り込みました。5月の東京都心のオフィス空室率は僅かに低下するなど、オフィス市況の悪化に一服感が出てきていました。入国規制が緩和される中、GoToトラベル再開への期待も下支え材料です。
 6月はJ-REIT全体としては1倍を超えるのは3銘柄のいずれも安定性が高い投資法人です。日本プライムリアルティ投資法人は1倍を切ってしまいましたね。NOIの水準も賃貸事業利益率も問題無いのですし、分配金も上昇しています。ですがオフィスビルの空室率の上昇が割とネットニュースとかで目に付く機会があるせいかその風評被害が多少影響しているのではないかと思います。ざっくり言ってしまうと日本プライムリアルティ投資法人は日本ビルファンド投資法人に近い競争力の高いオフィスビルを運用している投資法人です。稼働率も良好と言って良いとと思います。ジャパンエクセレント投資法人とは同じオフィスビルでもタイプが違うのでその場の雰囲気に流しされないように個人投資家さんへのアピールに力を入れても良いかもしれません。


・含み益
20220907J-REIT(6・12月決算)含み益
20220907J-REIT(6・12月決算)含み益2

 2022年6月期も順調に含み益は積みあがっています。特に減損損失を計上するような事態にもなっていないので不動産マーケットも落ち着いていると思います。それよりも問題は稼働率が0%の期間が続くことでの減損損失の計上です。一応減損損失になっても分配金に影響は特段怒らないように今は投信法も金商法も整備されてはいますが、シンプルに1年かけでもリーシングが上手くいかないのは運用の問題だと思います。特にオフィスビルやレジデンス等の場合はホテルやヘルスケア施設と違いオペレーターがいないので人のせいにすることができないですからね。オフィス系J-REITはここは踏ん張ってほしいところですね。

ジャパンホテル・リート投資法人
 ・なんばオリエンタルホテル:32,200百万円→5,120百万円
 ・オリエンタルホテル広島:4,230百万円→4,200百万円
 ・ザ・ビーチタワー沖縄:9,980百万円→9,960百万円
 ・ドーミーイン熊本:2,950百万円→2,930百万円
 ・ザ・ビー 水道橋:2,280百万円→2,270百万円
 ・博多中洲ワシントンホテルプラザ:4,530百万円→4,510百万円
 ・R&Bホテル上野広小路:1,900百万円→1,850百万円
 ・メルキュールホテル沖縄那覇:6,950百万円→6,940百万円
 ・ヒルトン東京お台場:68,400百万円→67,800百万円

 鑑定評価額が下がっている物件は41物件中9物件約4分の1が減少している訳ですが、それでも簿価よりは高い評価額なので減損になる可能性は低そうですね。

インヴィンシブル投資法人
 ・ホテルマイステイズ京都四条:9,080百万円→8,610百万円
 ・ホテルマイステイズ堺筋本町:3,530百万円→3,400百万円
 ・フレックステイイン巣鴨:2,200百万円→2,210百万円
 ・スーパーホテル東京・JR立川北口:1,240百万円→1,210百万円
 ・ホテルマイステイズ御堂筋本町:3,520百万円→3,330百万円
 ・ウェスティン・グランドケイマン・セブンマイルビーチ・リゾート&スパ:36,461百万円→45,719百万円
 ・サンシャイン・スイーツ・リゾート:6,671百万円→8,200百万円

 インヴィンシブル投資法人は運用アセットのホテル85物件中海外ホテル2棟を除くと鑑定評価額が下がった物件は5棟ということで県民割などを利用した集客を上手く進められたようです。かんぽの宿からリブランドした亀の井ブランドのホテルを運用しており、その「亀の井ホテル別府」は前期から鑑定評価額は前期から変わっていません。
 

・稼働率
20220907J-REIT(6・12月決算)稼働率
20220907J-REIT(6・12月決算)稼働率2

 2022年6月期の各投資法人の稼働率は概ね前期に比べ上昇しています。ただ、ジャパンエクセレント投資法人は更に下がっていますね。大口テナント退去の期ズレが原因のように決算説明会資料では述べていますけどそれでもリーシングに苦慮している点は否めないですね。まごまごしていると更に退去が進むことになるので本当に早めに手を打つべきだと思います。かといって賃料を下げるとNOIも下がってしまうので投資家さんにも説明し辛いですから難しいところですが、スポンサーの物件を集めたSPCに出資するなどして収益面においては何も問題無いというところを見せていくことも必要かもしれません。日本都市ファンド投資法人は商業施設が主力ですが、レジデンス主力の日神不動産プライベート投資法人に出資しています。違うアセットタイプの私募ファンドに出資するということも有効ではないでしょうか。
 ジャパンエクセレント投資法人は具体的な物件でいうと大森ベルポートD館の2022年12月期に大口退去が発生することになっており94%→88%に下がります。JEI浜松町ビルは2023年6月期にこれまた大口退去が予定されているという点から稼働率の回復は更に厳しい道のりが待っています。主に大口テナント候補の誘致を目指すリーシングなのでそのためにも別方面での収益確保が必要ではないでしょうか。