2022年9月13日に日本ロジスティクスファンド投資法人の決算が発表されました。
分配金は当初の予想一口当たり分配金が4,920円のところ4,955円で着地しました。

新規取得ではなくスポンサーの開発を打ち出す
20220921日本ロジスティクスファンド投資法人NOI推移

 2022年7月期は外部成長の動きはありませんでした。一応開発中であった浦安物流センターの再開発(OBR)が当初想定通りのスケジュールで2022年8月1日に完了し現在、100%稼働で収益貢献を始めています。 同物件では、OBRの実施による賃貸可能面積の拡大や賃料単価の増額を通じ、年間NOIが約4.6倍となるなど大幅なバリューアップに成功すると共に、東京湾岸エリアのプレミアム立地でありながら6.9%のNOI利回りを実現する見込みとしています。更なる成長に向けて、多様かつ独自の物件取得アプローチを深化させ、OBRで培った物件開発ノウハウを活用した「事業パートナーとの協同開発」を中心に相対的に競合が少ない分野に注力すると共に、体制強化と業務推進プロセスの変革を引続き進めることで、引き続き1口当たり分配金の目標達成に向けた物件パイプラインの拡充を進める方針です。
 首都圏湾岸エリア所在物件では、周辺マーケット及びテナントの動向を見極めた再契約交渉により約4%の賃料増額を実現し、首都圏湾岸エリア所在物件ではテナント及び荷主の動向を的確にとらえた再契約交渉により約5.5の賃料増加を実現しています。中部圏エリア所在物件では、テナントによる継続利用の蓋然性を的確にとらえた再契約交渉で約2.4%の賃料増加を実現しています。これは決算説明会資料の14ページに詳細が載っているのですが、物件名を伏せているところは支払っている賃料を他人に知られたくないテナントに配慮してのことだと思います。結果、2022年7月期の実績は稼働率100%、賃貸借契約の平均残存年数4.7年、賃貸借契約の平均年数11.1年(うち3年以内は52.7%と一番多い)なっています。上記のとおり運用を行った結果、当期の実績は営業収益9,613百万円、営業利益5,090百万円、経常利益4,628百万円、当期純利益4,627百万円となりました。


金利固定化と返済期限の分散により金利上昇への耐性を確保

 財務戦略は、1口当たり分配金の安定と成長を最優先に、保守的な有利子負債比率の維持に留意しつつ、金融機関からの借入れ・公募増資等の財務活動を行っていきます。有利子負債による調達にあたっては資金調達先や返済期限の分散に配慮した対応を行う方針です。また、敷金及び保証金についても、物件の取得資金の一部として活用する等、効率的なキャッシュ・マネジメントを行う方針です。更に、投資法人は、資本効率の向上及び投資主還元のため、資本政策の一環として自己の投資口の取得及び消却を行うことを必要に応じて検討していくとしています。
 2022年7月期は、2022年2月に2017年9月以来、約4年半ぶりとなる公募増資を実施しました。本公募増資では物件取得資金等の調達を目的として8,314百万円を調達し、当期末時点の投資口数は934,000口(対前期比28,927口増)、出資総額は135,658百万円(対前期比8,314百万円増)となっています。有利子負債については、2022年2月に物件取得資金等及び返済期限を迎えた長期借入金6,500百万円の返済資金として11,500百万円を調達したほか、3月には返済期限を迎えた長期借入金3,000百万円のリファイナンスを行いました。これらを通じて、金利固定化及び返済期限の分散を推進し金利上昇への耐性を高めるとともに、平均調達コストの低減や調達先の多様化も実現しています。当期末時点での有利子負債総額は119,700百万円、LTVは総資産ベースで43.7%、鑑定評価額ベースで29.8%となっており、引き続き安定的な財務運営を行っています。2022年7月期末時点の格付機関から得ている格付は以下の通りです。
・㈱格付投資情報センター(R&I)、発行体格付:AA-、格付の見通し:安定的
・㈱日本格付研究所(JCR)、長期発行体格付:AA、格付の見通し:安定的